◆小泉悠『ワグネル。プーチンの軍隊』を読み解く
監訳→小泉悠。
翻訳→中市和孝。
著者→マラート・ガビドゥリン。
★要旨
・本書は、マラートがロシアの民間軍事会社ワグネルで、
コントラクター(契約戦闘員)として過ごした日々をつづったものだ。
・中心となっているのは、シリアでの戦いだ。
・本書には一種独特の魅力がある。
それは著者が元将校であるがゆえに、
比較的大局に立ったものの見方と教養を有している点だ。
・ワグネルグループの重要人物は、
オリガルヒ(新興財閥)のエフゲニー・プリゴジンである。
・プリゴジンは、1961年生まれ。
サンクトペテルブルク出身で、
プーチンと同じくソビエト崩壊後の混乱を利用して成功した。
・かつてのならず者からロシアでも屈指の有力者に
のし上がったピリゴジンは、諜報部員やスパイ、
密偵やマフィア、刑務所帰りが行き来する「うろんな世界」の
申し子にほかならない。
・刑務所はよく知っていた。
1981年、わずか20歳で、盗みと詐欺と売春斡旋で、
懲役13年を言い渡される。
その経験は人生に刻みつけられた。
9年後に刑務所から出てきたとき、ソ連は断末魔にあった。
・プリゴジンは、すぐさまビジネスに乗り出した。
何にでも手を染めた。
カジノ、西側式スパーマーケット、
ホットドックのチェーンを立ち上げた。
・高級レストランもいくつも開店させ、
海外の要人の晩さん会も催した。
・レストラン事業の成功で勢いに乗ったプリゴジンは、
「プーチンの料理人」の異名をとり、
権力の中枢にある重要人物となった。
彼の外食事業は、公共機関から多くの契約を受注した。
うまみのある学校食堂事業に参入する。
引き換えに、彼はクレムリンのために、手を汚した。
・マラートには、
ワグネルには政治的な役割がある以上に、
その幹部らの金儲けの手段になっていることがわかってきた。
傭兵部隊の仕事は、タダではない。
・マラートが戦ったシリアでは、
シリア自由軍やイスラム国の手に落ちた油田やガス田を奪え返し、
石油精製施設の安全を確保する任務を担っていた。
その代償として、「会社」は石油や天然ガスから上がる収益の
25%の手数料を得ていた。
★コメント
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