◆玉木俊明『迫害された移民の経済史』を読み解く



副題→「ヨーロッパ覇権、影の主役」



★要旨



・オランダ史家レスハーは、

アムステルダムは情報のみならず、

重要なニュースの貯蔵庫であっと述べる。



・アムステルダムを通じて、

情報やニュースが各地に伝播したというのだ。



・多様なバックグタンドをもつ商人が、

アムステルダムの取引所で取引に従事したのである。

プロテスタント商人とカトリック商人、

場合によっては、ユダヤ人、さらにはアルメニア人までもが

アムステルダムという狭い空間で商業活動をした。



・当初、アムステルダムのユダヤ人の多くはイベリア半島、

なかでもポルトガルから来たセファルディムであった。

しかし、

東欧系のユダヤ人であるアシュケナジムの数が増えていった。



・イベリア半島でセファルディムが追放された時期に、

オスマン帝国の領土が拡大し、優秀な官僚が必要になった。

15世紀後半から16世紀を通して。



・さらに、商業・貿易活動が盛んになった。

そのときに、ユダヤ人、とくにセファルディムは、

官僚として、あるいは商人として、さらに銀行業、

港湾や関税の運営、大量の食料の調達でも

非常に優秀だったのである。




・セファルディムが、

オスマン帝国のユダヤ人のなかで

圧倒的に重要な地位に上昇したのは、

彼らの教育水準と文化水準が高かったからである。



・セファルディムは、アルメニア人と異なり、

ダイヤモンドの不規則な世界市場での

取引に必要ないくつかの要素を兼ね備えていた。

秘密を厳守し、高い水準で協力しあい、

情報を入手し、長距離貿易で長期の信用を提供し、

貿易形態の地理的変化に対応することができた。



・彼らは家族企業を経営していたので、

徒弟がいなくても、

専門的知識を伝達することができた。



・南アジアにおいて、アルメニア人は、

イギリスのために、ムガル帝国とサファヴィー朝の

外交と金融面での交渉で重要な役割を果たし、

それは18世紀に至るまで続いたのである。



・さらにアルメニア人は、

その言語能力を生かし、

通訳としても活躍したといわれる。



★コメント

長い歴史のなかで、移民の果たした役割について注目したい。