◆月沢李歌子『ウィキリークス。アサンジの戦争』を読み解く



著者→デビット・リー。

「ガーディアン」特命取材チーム


翻訳→月沢李歌子



★要旨



・流失したアメリカの外交公電で印象的だったのは、

中東ではなくロシア関連の文書だった。



・流失した外交公電は、

ロシアの腐敗、非民主的なこと以上のことを明らかにした。

プーチンを中心とした、絶望的なほどまでに

国民から搾取する泥棒政治の実態を描いている。



・同時に、ロシアが政府高官、少数の独裁者、

そして組織犯罪が一体となった「実質的なマフィア国家」であることを

暴いたのである。



・武器密売、不正資金浄化、個人蓄財、マフィアの保護、

ゆすりと賄賂、スーツケースいっぱいの金と海外の秘密口座。

外交公電により、

年間3000億ドルもの賄賂を受け取る政治組織の実態が、

白日のもとにさらされた。



・オバマ大統領の就任後、

アメリカとロシアの関係に改善が見られたにもかかわらず、

米国はロシアに対して幻想を抱いていない。



・公電は、

「ロシアのスパイは、武器密売のような犯罪を実行するために、

マフィアのボスを使っている」

と述べている。

一方、警察、諜報機関、検察などの司法当局は、

犯罪組織から事実上の上納金を受け取っている。



・さらに公電の報告は続く。

ロシアの官僚機構は腐敗しきっていて、

警察、役人、そしてKGBの後継機関である連邦保安庁(FSB)が

大いに私腹を肥やすことができるよう、

税が実質、二重構造になっているというのである。



・あるスペインの検察官の報告が、ワシントンに伝えられている。

彼はアメリカ当局者に会い、

「ロシアは、事実上のマフィア国家だ」

「彼らの活動は、政府のものなのか犯罪組織のものなのか、

区別がつかないくらいだ」と述べ、

ロシアの政党がマフィアと協力関係にあるという、

証拠を握っていると語った。



・今まで取り上げた公電は、

明らかに、現代のロシアという国家が機能していない点を伝えていた。

そして同時に、アメリカ国務省の底力も示していたといえる。



・公電に優れた文章を書く外交官は多かったが、

ロシア駐在のアメリカ大使、国務次官を務め、

現在CIA長官である、ウィリアム・バーンズは

中でも際立っていた。



・バーンズは第一級の知性の持ち主であり、

彼がスターリンからソルジェニーツィンに至るまで、

さまざまなテーマについて執筆した文章は、正確かつ繊細で興味深く、

広範囲にわたる分析と歴史的な考察を結びつけたものだった。

機密文書でなければ、

ピュリッツァー賞を受賞してもおかしくないほどである。



★コメント

流出文書からさまざまなことを学べる。

 

 

◆まぐまぐメルマガ『国際インテリジェンス機密ファイル』ご案内。

ご登録はこちら。


http://www.mag2.com/m/0000258752.html