◆杉田淳『地方議員は必要か』を読み解く



サブタイトル→「3万2千人の大アンケート」

NHKスペシャル取材班。




★要旨



・アンケートの取りまとめにあたった私には、

地方議員への見方ががらりと変わった出来事がある。



・25年以上前、私はある地方都市の放送局に

新人記者として赴任し、のちに県庁担当として

県議会を取材することになった。



・当時、県議会議員は、ほとんどが中高年男性。

日頃の話題は、ゴルフや議員による野球大会、

県庁内の女性職員の噂も時間つぶしの格好のネタだった。

お世辞にも緊張感のある日常には思えなかった。



・そんな折、県による新型ごみ処理施設の建設計画が持ち上がった。

建設予定地周辺の住民からは反対運動が起き、

地元マスコミがこぞって注目することになった。



・しかし、県庁の担当職員の口は堅く、

計画の詳細がなかなかわからない状態が続いた。

私は、取材が進まない愚痴を中堅県議の一人にこぼした。



・ほどなくこの県議から呼び出しを受けた。

彼のもとを訪ねると計画に関する数十ページに及ぶ

分厚い資料を渡された。



・「これで、よく勉強したらいい」

と話す真摯な表情を目の当たりにして、

自分が彼の一面しか見ていなかったことに気付かされた。



・地方議員には、国会議員とは違った顔がある。

地域のあらゆる課題に取り組み、

その解決を目指す調整役としての姿だ。



・首都を動かす議会。



・東京、神田淡路町。

靖国通りから路地に入った住宅や事業所の密集地にその事務所はあった。

主の名前は、内田茂(故人、当時81歳)。



・小池都知事に「都議会のドン」と名指しで批判され、

図らずも知名度は全国区となった。

2017年をもって第一線から退いたが、

当時も事務所を構え、政治活動を続けていた。

内田への来客は、途切れることはなかった。



・東京都議会は、地方議会の中で、別格の存在感を誇る。



・内田は、言った。


→「行政の人間というのは、言葉つがいは丁寧だけど、

言葉の端々に、俺たちが言うんだからこうなります、

と圧力をかけてくる。

行政の言うとおりにしてたら、どんどん民間の論理から離れていっちゃう。

だから俺たちがいるんだよ」



→「理事者(都の幹部職員)にはそれなりの情報があって、

知見を高めていくが、議員には教科書がない。

教科書がないから、

どうしても執行機関の方針に帰着していまいがちになる」



→「でもこちらがチェックしていく中で、わからなことがあれば、

『わからない』ってダダをこねてしまえばいいわけ。

そうなれば、理事者は、間を埋めるようなものを持ってくるわけだ。

議員にとっては、それも真剣勝負のうちなんだ」




★コメント

地方政治には、まだまだわからないことが多い。

調べていきたい。