◆加藤崇『水道を救え。AIベンチャー「フラクタ」の挑戦』を読み解く



★要旨



・僕がアメリカはカリフォルニア州レッドウッドシティ市で

経営する会社「フラクタ(FRACTA)」は、

AI・人工知能を使ったソフトウェアによるシュミレーションで

その常識をひっくり返し、交換すべき水道管と、

まだ使い続けるべき水道管の判別に挑んできた。



・2015年の創業から7年の現在、

アメリカの大手水道公社とパートナー契約を結び、

カルフォルニア州オークランド市の水道事業者など

全米50州のうち28州82以上、日本でも10以上の事業者と、

一緒に働き始めている。



・フラクタは、AIを活用した、水道管路の劣化状態を

診断するソフトウェアをオンラインツールで提供している。



・ソフトウェアは、水道管路に関するデータと、

独自に収集した環境に関わるデータを組み合わせて、

それぞれの水道管が壊れ、

漏水を起こす確率を高精度に予測できる。



・成功の鍵となったのは、

水道管の素材だけでなく、形状や、

その水道管が埋まっている土壌やその地域の天候など、

環境にも注目したことだ。



・公開情報、そして僕らが独自に集めたデータを合わせると、

腐食に関わると思われる要素は約1300ある。



・世界には、「水メジャー」と呼ばれる存在がある。

水道事業を担うグローバル企業のことだ。



・最大手はフランスの「ヴェオリア」で、

ヴェオリアといえば、水メジャーの代名詞。

とはいえ、水道事業だけを手掛けているわけでなく、

廃棄物、エネルギー管理と合わせて3つの柱を持っている。



・ヴェオリアは、世界70か国に拠点を持ち、

全世界で7900万人に水道サービス、

6100万人に下水処理サービスを提供している。

従業員は、約22万人。



・ヴェオリアに続くのは、スエズだ。

やはりフランスの企業で、

上水道事業、電力事業、ガス事業を行っている。



・フラクタはアメリカ、イギリスで実績を積んだあと、

2019年に日本でも本格的に活動を始めた。

以来、多くの水道事業者の人たちとディスカションを重ね、

実際にリスクの算出を行ってきた。



・出会う人はみな、水道インフラを持続させるためには

管の更新に課題があると感じていて、

どうすればそれを解決できるかに頭を悩ませてきた人たちばかりだ。



・彼らは、フラクタのソフトウェアが出した数字を、

文字通り、前のめりになって覗き込む。

そしてその数字と、勘と経験という言葉では

まとめきれない暗黙知とを鮮やかに結び付けていく。



・ああ、水道のプロなんだなとリスペクトが生まれる瞬間だ。

具体的な数字が議論のきっかけとなって、

抱えている問題が一気に整理され、

多彩なアイディアが飛び出し、そして、解決へと動いていく。



・はじめにデータありき。



・ひとたびリスクや事故の傾向が、

数字というデータで示されると、

水のプロたちは「やっぱりそうか」と納得してくれる。



・しかし「やっぱりそうか」に続いて、

「ということは、これはどう?」

という次の疑問が必ず出てくる。

その視点は、水のプロならではのものだ。



★コメント

地味なインフラ産業とITの融合は、おもしろい。

同じような形でいろいろアイデアを出していきたい。