◆渡部悦和『プーチンの超限戦』を読み解く
サブタイトル
→「その全貌と失敗の本質」
★要旨
・ウクライナ戦争を研究している過程で、
ロシア軍は超限戦を行い、
ウクライナ軍はそれに対抗する超「超限戦」をおこなっているのだ、
という確信に至った。
・中国人民解放軍の大佐が書いた『超限戦』には、
こう書いてある。
→グローバル化と技術の総合を特徴とする21世紀の戦争は、
すべての境界と限度を超えた戦争で、これを超限戦と呼ぶ。
このような戦争では、あらゆる領域が戦場となりうる。
→すべての兵器と技術が組み合わされ、戦争と非戦争、
軍事と非軍事、軍人と非軍人という境界がなくなる。
・この「すべての境界と限度を超える」主体が、
テロリストやマフィアではなく、
国家であれば大問題となる。
その大問題をロシアは、ウクライナ戦争において行っている。
・ロシアの嘘に基づく情報戦に対して、
ウクライナは事実に基づく情報戦を展開している。
・「世界第二位の軍事大国ロシア」は、虚像だった。
・長い戦争の歴史が教えていることは、
敵の意思を制圧するのは物理的な火力戦闘であり、
サイバー戦や認知戦ではないのだ。
・ウクライナ戦争においても、
決定的な影響を与えたのは陸戦であり、
ジャベリンなどの対戦車火力、榴弾砲やハイマースなどの砲兵兵力、
戦闘爆撃機、バイラクタルTB2などの航空火力だ。
・戦争に勝利するためには、
火力戦闘と歩兵による最終的な目標の奪取・占領が不可欠なのだ。
・戦争には古いも新しいもなく、戦争に勝利するためには、
その時代の技術水準で利用できる、あらゆるドメインを使った戦い、
オール・ドメイン戦にならざるを得ないのだ。
・アメリカの「開示による抑止」を可能にしたのは、
バイデン政権がロシアのウクライナ侵略に対処するために、
特別に編成した「タイガー・チーム」の存在が大きい。
・「タイガー・チーム」は、2021年11月に正式に誕生した。
国家安全保障担当大統領補佐官のジェイク・サリバンが、
NSC(国家安全保障会議)の戦略計画担当ディレクターに、
複数の省庁にまたがる計画策定の指揮をとるよう命じたことが始まりだ。
・タイガーチームは、
ロシアが取り得る様々な行動方針、
それに対するリスクと利点などを検討した。
・シナリオには、情報戦、サイバー戦、
ウクライナの一部だけを占領する限定的な攻撃、
全面的な侵略まで幅広いシナリオを想定し、
攻撃開始から2週間後までの対応策をまとめた、
「プレイブック」を作成した。
・この「プレイブック」を基にして、
修正しながら現在もロシアの侵略に対処している。
・以上のような取り組みは、
起こり得る事態を予測するのに役立っただけでなく、
ロシアの情報戦に先手を打ち、その意図を事前に暴露し、
ロシアのプロパガンダ力を削ぐのに有効となった。
★コメント
あらためて、アメリカの情報力を目の当たりにした。
学びたい。
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