◆谷口智彦『安倍総理のスピーチ』を読み解く
★要旨
・わたしが総理官邸に部屋をもらって、
安倍晋三総理大臣の外交スピーチライターを務め始めたのは、
2013年2月のことだった。
・本書は、安倍総理の主要なスピーチを紹介しつつ、
安倍外交の歩んだ道を辿ろうとするものである。
・私は、経済雑誌「日経ビジネス」の記者として育った。
そのごく初期において運と縁に恵まれ、
フルブライト奨学金を授かり米プリンストン大学で一年を過ごした。
・記者になったのがひとより4,5年遅れていたから、
初期といっても30代半ばのことだ。
・プリンストンにはその美しいキャンパスのあちこちに、
充実した図書館が散在していた。
そこはあたかも森閑とした森の中である。
・そんな中を、書架、また書架を訪ねて歩いた。
借り出せる冊数に上限がないのをよいことに、
抱えきれないほどの本を持ち出した。
・机に重ね、読み始めてようやくにして気づいたのは、
自分の関心対象を扱った書物なら、
辞書の助けなどなくとも読め、
読書の速度が上がるということだ。
・面白いと思える本でない限り、読み通すのに苦労するのは、
邦語の本であれ、英語の書物であれ同じこと。
自分の関心が国際政治経済学方面に強く向いていたことが、
その過程で自覚できもした。
・開眼というにはいかにも遅かった。
とはいえようやく分厚い英語の本を読む喜びを知って、
読むなら英語の本、と自らに課し読み進めるうち、
次第に書く力や、話す際のレトリックに好影響が出た。
・スピーチとは、ステージ芸術である。
あるいは歌だ。
・聴衆に感動を与え、その力で態度を変えさせ、
行動を変容させようとするものである限り、
音声芸術に必要な技術は、当然駆使しなくてはならない。
それは、一に間、二に音の強弱、三に音の高低のコントロールである。
・作詞家として、おびただしいヒット曲を書いた松本隆が、
いつかテレビの番組に出て、太田裕美や松田聖子のために
詞を書いた当時を振り返りながら、
「原稿ができあがっても、詞の場合、それが完成じゃない。
歌われて初めて、完成する」
のだと言っていた。
・スピーチ原稿の作成において、まったく同じことが言える。
読まれてこそ、原稿は完成する。
・耳から聞くだけで意味をつかんでもらわなくてはならない以上、
スピーチも読みやすいものでなくてはならない。
・皇統が象徴しているのは、
世界でも唯一日本にしかない、記憶の連続性、
思い出の継続性という無形の資産である。
・万葉集の有名なうたは、現代を生きる高校生が十分理解する。
すなわち上にいう無形資産は日本語に実体化し、
有形資産として現存している。
・守るには、いまいう連続性、継続性が、
この先相当期間そのまま残ると、国民に自信を持たせる必要がある。
★コメント
コミュニケーションは、人生の大部分を占める。
このテーマを極めたい。
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