◆宮脇淳子『真実の満洲史。1894ー1956』を読み解く


★要旨



・満鉄調査部の地域研究能力


・初代満鉄総裁の後藤新平と

二代目総裁の中村是公が、

鉄道用地買収のために現地調査を行なったのが、

満鉄調査部の始まりです。


・新しく土地を統治するときは、

土地が誰のものかが一番大事です。

後で紛糾を起こさないように、

後藤新平が台湾で成功させた現地調査と

同じやり方を持ち込んで、

土地を接収するときの補償金を

払うための現地調査を行ないました。


・日本は台湾統治を始めたとき、

旧慣調査といって、

とにかく何重にも重なった

土地の権利関係をまず調べました。


・これは非常にレベルの高い研究でした。

台湾に漢人たちが入植してから

それほど経っていませんでしたが、

それでも百年位の間に、

一番いい目抜き通りの土地や建物

は代々、抵当が重なり、

持ち主が誰かわからなく

なってしまっていました。


・貸し借り関係が非常に複雑で、

書類もたくさんありました。

それを日本人がすべて調べあげたのです。


・そこで初めて中国人の商業と

経営のやり方がわかりました。


・じつは何千年も歴史があるといっても、

中国では土地の権利関係について

何の調査もしていません。

中国には調査記録がないのです。


・いまだに台湾の旧慣調査が

世界で唯一、中国人の土地借用の

権利関係を徹底的に調べた現地調査だと

いわれています。

そんなことができたのは日本人だけです。



・満鉄調査部は

最初は土地取得のための調査をしましたが、

その後は、風俗調査や民族調査などを行ない、

「満鮮地理歴史研究報告」をまとめました。


・満鉄調査部は文系の研究だけでなく、

地質研究所や産業試験所などもでき、

獣疫研究所や衛生研究所も設立されました。



・後藤新平と中村是公がお金を

出してくれたおかげで、

満鉄調査部は日本の学問の発展に大きく

寄与しました。


★コメント

やはり、歴史は

いろいろな見方があり、

おもしろい。