◆古川順弘『地形と地理でわかる神社仏閣の謎』を読み解く
★要旨
・古代出雲は、青銅器文化の一大中心地であり、
神話に描かれたように、古代日本における最大級の地方勢力だったことが、
明らかになったのである。
・島根半島は日本海の交易の中心地だった。
・なぜ古代出雲がこれほど大きな勢力となったのか。
その答えが島根半島にある。
実は、島根半島はかつて半島ではなく、
島であったことが地理学・地質学によってわかっている。
・古代の日本海は、
対馬海流やリマン海流の流れを利用して、
鉄、青銅器、玉製品などを持った人々が行き来する、
巨大交易圏を形成していた。
・出雲は、先進地域だった朝鮮半島や中国大陸、
そして北九州や北陸からも
ヒト、モノが集まる環日本海ネットワークの要だったのだ。
・各地の進んだ文化に接した出雲は、
やがて独自の文化をつくり上げ、
日本海交易を掌握する強力な勢力に成長したのである。
・古代日本には、交易が盛んな九州北部や出雲、
瀬戸内海の吉備などの勢力圏があったが、
最終的にこれらの盟主としてヤマト王権が成立したのは、
内陸部の奈良盆地にあった畿内勢力だった。
・奈良盆地で生まれたヤマト王権の中心となったのが、
三輪山(みわやま)の麓だった。
・この三輪山に鎮座する大神神社(おおみわ・じんじゃ)は、
最古の神社ともいわれる。
・熊野は、しばしば「死者の国」「死の国」と評される。
・水に囲まれた熊野の大斎原(おおゆのはら)は、
神社誕生の霊地であった。
・熊野が「死者の国」とされたのは、
天然の水垣に囲まれて水上に浮かぶ大斎原が、
異界・他界につながる崇高な霊地として
神聖視されたことにも起因している。
★コメント
地理と歴史は、つなげてみると面白い。
両社とも表裏一体なり。