◆小谷賢『日本インテリジェンス史』を読み解く
副題→旧日本軍から公安、内調、NSCまで。
★要旨
・本書は戦後日本のインテリジェンス・コミュニティの変遷を、
終戦直後から現在まで辿って考察していくものである。
・インテリジェンスは国家の政策や軍事作戦を左右し、
それらの在り方に影響を与える。
・内閣情報官や国家安全保障局長を務めた北村滋は、
「インテリジェンスほど、国家作用に激烈な影響を及ぼすものはない。
なぜならば一片の紙切れに記載された情報が、
重大な国策の決定を左右し、
それに基づき大規模な部隊の運用や行政の執行がなされるからである」
・各国でその規模や構成組織は様々であり、
米国のように18もの情報組織がコミュニティを形成しているようなところもあれば、
イスラエルのようにわずか四つの場合もある。
・基本的に国外で情報収集にあたる対外情報組織、
国内の情報保全を任務とする保安組織、
軍事情報に特化した軍事情報組織というのは大抵の国に存在している。
・2003年にはイラクの大量破壊兵器に関する誤った情報によって、
米英を始めとする有志連合国はイラクに宣戦布告を行い、
2013年には秘密裏に得たインテリジェンスに基づいて、
英国政府はシリアへの空爆を決定した。
・インテリジェンスとは情報のことを意味するが、
どちらかというと機密や諜報の語感に近い。
・つまりただの情報(インフォメーション)ではなく、
分析・評価された、
国家の政策決定や危機管理のための情報こそがインテリジェンスということになる。
★コメント
日本の情報組織について、
全体を把握できる貴重な一冊である。