◆朽木寒三『馬賊戦記。小日向白朗(下)』を読み解く
★副題→「小日向白朗。蘇るヒーロー」
★要旨
・上海は特殊な都市である。
不可解な都市であり、「魔都」である。
・ごく上品なところで「国際都市・上海」と呼ばれたが、
要するに上海と言えば、エロ、グロ、猟奇の本場のように思われた。
・上海は1930年代、当時すでに人口271万人と称せられ、
世界でも8番目の大都市であった。
・日中戦争たけなわのこのころは、
上海に家を持ち、財産を温存するのが、
全中国の金持連の常識となっていた。
・租界が作り出す複雑な政情はまた、
この大都市を外交戦の好舞台とした。
スパイ、テロ団の暗躍である。
そして暗黒街勢力の発達である。
・小日向白朗は、三浦少将から特務機関の上海での仕事を依頼された。
白朗は、以下のように条件をつけた。
「少なくとも自分で納得のゆくまで、上海を研究させてもらうことだ。
3カ月かかるか半年かかるか、その間黙って待っていてもらいたい」
了承を得た。
・白朗は、単身潜行した。
その日から半年間、夜ともなれば必ず、上海の裏町、
バクチ場、売春宿、アヘン窟などに白朗の姿が現れた。
・彼は気が向くと話しかけ、いくばくの金をくれたり、
ごちろうしてくれたりした。
金は多すぎず、少なすぎず、ただいざカモろうとしても引っかからない。
そのうち、多くの人が先生、先生となついてきた。
・約半年がかりで、白朗は上海暗黒街の「勢力地図」を、
全く独力で作り上げた。
宿にこもって書き上げた克明な一覧表は、
障子2枚つなぎ合わせたほどの大きなものになった。
・馬賊、小白竜こと、小日向白朗の物語は、
そのどこをとってみても、
いわゆる小説家的空想力のとうてい及ばぬものにみちみちている。
・圧倒的なスケールの大きさ、ケタ外れの面白さは、
「事実談の魅力」でもあるが同時に、
それは主人公・小日向白朗の、人間としての魅力なのにちがいない。
★コメント
彼に見習いたい。
少しでもいいから、彼の実績に追いつきたい。