◆花房観音『京都に女王と呼ばれた作家がいた』を読み解く 



副題→山村美紗とふたりの男 


★要旨


・美紗は、心から愛を捧げる二人の男を従え、己の才能を存分に発揮し、

膨大な売り上げで出版社まで操れる女王の地位を確立したわけだが、「愛の迷宮」の念と業の深さは、

美紗が死しても安らかには終わらせない。



・山村巍氏は、黒衣として妻を支えつつ、高校の数学教師として定年まで仕事を全うし、

さらには、作家のパートナーとして、なにかとスキャンダラスにとりあげられた西村京太郎の存在も、

「妻には作家としての戦友として西村氏が必要不可欠」

との確信をもとにして認めていた。



・夫は妻の肖像画を描き始めた。 

かつて、「女王」と呼ばれ、華やかな生涯を送った妻の絵を描くために、夫は筆をとる。 取り憑かれたかのように。 

そこは京都、東山。 

霊山と呼ばれる場所だった。



・人間はは二度死ぬ、と言われている。 

一度目は肉体が滅んだとき、二度目は人々に忘れ去られたとき。 

しかし、作家は作品が遺る。



・もちろんすべての作家ではないけれど、

世に遺るべき仕事をした作家の作品は、

本、舞台、映像、人々の記憶の中で伝えられていく。



・隣の西村京太郎邸とは、地下道でつながっていたが、

山村美紗のほうから西村邸に行くことはできても、

西村邸から山村邸に行くことはできなかった。



・山村美紗は生前、膨大な量の本を刊行しているが、

そのほとんどが京都を舞台とし

「京都で山村美紗が書いていないところは無いし、

人が殺されていないところも無い」と言う人もいる。

私自身も実際に山村美紗作品を読んで、そう思った。



・ふたりの関係が真実とするならば、

他の男と愛し合っていた妻の肖像画を描く夫というのは、何を考えているのだろうか。 

それに付き合う、再婚した妻も。 

山村美紗の死後、肖像画を描き続ける夫の山村巍。 

山村美紗をモデルにして、ふたりの恋愛を小説にした西村京太郎。 



・私の理解の範疇を超えているからこそ、どうしても気になって仕方がなかった。



・夫の描く絵、京太郎の小説、

どちらからも漂ってくるのは、山村美紗への執着だ。 

彼らはまるで山村美紗に取り憑かれているかのようだ。



・東山・霊山を舞台とした、山村美紗、夫の巍、

そして西村京太郎氏の関係は、

何よりも「京都のミステリー」だった。



★コメント

面白すぎる。

昭和は、やはりおもしろい。

令和にもこういう人が出てきてほしい。


 

 

 

 

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