◆ルトワック『クーデター入門』(奥山真司・監訳)を読み解く


 


 


※要旨



★監訳者・奥山氏によるあとがき



・著者のエドワード・ルトワック氏の

経歴などについて簡潔に説明したい。



・ルトワックは、1942年に

ルーマニアのトランシルバニア地方のアラドに生まれた。

その後、イタリアで少年期を過ごし、

イギリスの寄宿舎学校に進む。

そこから軍属して英国籍を取得し、

ロンドン大学(LSE)で経済学の修士号を修めた。



・その後コンサルタントやアナリストとして

仕事をしながら、中東戦争に参加し、渡米、

ジョンズ・ホプキンス大学(SAIS)で

ローマ大戦略をテーマに博士号論文を書いて修了。



・その前後からイスラエル軍や米軍で

フリーの軍属アドバイザーとしての活動を積極的に行っている。

大手シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)の

上級顧問という肩書を使いながら、

あえてアカデミックなポジションを求めず、

比較的自由な立場から、世界各地の大学や軍の士官学校、

それに各国政府の首脳にアドバイスを行っている「戦略家」である。



・彼の「戦略論」の核にあるアイデアである「逆説的論理」は有名であり、

世界各国の軍の士官学校や大学の戦略学科などでは、

すでに彼の本が必読文献のリストの中に入って久しい。


 


・本書の特徴を3つ挙げておきたい。



・第一が、当然ながら、その着眼点のユニークさである。



・第二が、その分析が非常に「戦略的」であるということだ。



・第三は、そのリアリティにあふれた記述である。



・彼は、本書が書かれた経緯について証言している。



・本書は、ルトワックが弱冠26歳のとき書かれたもの。

石油会社のコンサルタントとして働いた後の休暇中に、

欧州や中東を巡って旅をしていた。

たまたまレバノンの首都ベイルートで滞在中にバーに行き、

そこでアフリカやアラブ諸国で

クーデターを実行した人物たちに酒を飲みながら話を聞き、

それをまとめただけだ、というのだ。


 


★2016年版へのまえがき。(ルトワック)



・クーデターとは、

相手を説得するための助けとして銃を必要とする、

特別な形の「政治」である。

もちろんクーデターを成功させることは難しく、

もし銃が大量に使われて失敗し、状況が悪化してしまうと、

迅速で無血のクーデターとは正反対の「内戦」に陥る危険もある。



・クーデターを防ぐために、とにかく最も重要なのは、

軍や準軍事的な組織、そしてその他の安全保障組織を

完全に分離することにより、強制力を独占させないということだ。



・脆弱な国で日常的に使われているもう一つのクーデター防止策として

挙げられるのは、一種のスパイ活動である。

内向き、つまり自国の軍隊や治安組織に対するものである。


 


 


※コメント

ルトワックの文章は、ユーモアセンスも

時折入っており、読みやすい。

よくよく物事の裏事情に精通しているからこそ

内容が面白い。


 

 

 

 


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