◆遠藤誉『毛沢東。日本軍と共謀した男』を読み解く
★要旨
・毛沢東は、父親の勉学に対する不理解から中等専門学校しか出ていないため
北京大学の受験資格がなかった。
・そこで普通高校卒業相当と認められる実習・研修をするために北京大学図書館で
下働きをせざるを得なかった経験が
北京大学内に実在した陳独秀などの知識人、
進歩的文化人に強烈なコンプレックスとほとばしるような復讐心を抱かせたことが、
その後の文化大革命での知識人迫害につながっている。
・日本軍は中国大陸にて主に国民党軍と戦っており、
国民党軍の情報を得るために岩井公館などの諜報機関を通じて
中国共産党に莫大な情報提供料を支払っていた。
・そして毛沢東率いる中国共産党は、
国共合作を通して得た蒋介石・国民党軍の軍事情報を日本側に提供したうえで
日本軍との戦いをできるだけ
国民党軍に任せ共産党軍はほとんど前線に立たず戦力を温存した。
・この結果、日本がポツダム宣言を受諾し終戦となるまで、
小さな戦いでの戦果を大きくプロパガンダすることで民衆を味方につけながら戦力の消耗を最小に抑えた。
・また戦後の日本軍武装解除は本来日本が戦った相手の中華民国の国民党軍が行うべきであるのに、
共産党軍が行い多くの武器を横取りしたところも多かった。
以上が、その後の国共内戦で共産党軍が国民党軍に勝利した大きな理由だ。
・日本軍と戦っていたのは、専ら国民党軍で、
毛沢東は、中共軍に日本軍と大規模な戦闘はしないように指示する一方、
延安の安全地帯から部下のスパイに命じて日本軍に国民党軍の情報を流していた。
・中国共産党では、
少しでも現実的な妥協したことを言うと「反革命」「走資派」「売国奴」と糾弾され、
失脚し、殺される、という黒歴史が繰り返されてきた。
常に誰かを批判する多数派の立場に立とうとするトラウマがある。
★コメント
さまざまの情報を比較して、
本質を見極めたい。