◆手嶋龍一『武漢コンフィデンシャル』を読み解く



★要旨



・ウイルス情報こそ21世紀の戦略的インテリジェンスなり。



・オバマ大統領の発した「モラトリアム」がもたらした戦略バランスの歪みと紅い大陸への無責任な研究協力体制こそが、

世界を覆う新型コロナウィルスの惨禍の原因ともいえる。



・しなやかに、しかしまっすぐに自らの信念を貫いて生きること。

それは難しいことだが、人生の要でもある。



・数字やデータに頼るだけではなく、注意深く身体感覚を働かせること。

人の失われた「磁覚」。

アポリジナルの知啓はわかる気がする。



・阿片戦争から現在に至る中国の近現代史を縦軸に、

武漢と香港を繋ぐ線を中心とした地理的な展開を横軸にして、

新型コロナウイルスのアウトブレイクに迫る。



・なけなしの現金を懐に駆け込んでくる患者たちには独特の嗅覚がある。

医者を値踏みして誤らない。



・マイケルは、スタンフォードでは統計学とコンピュータ・サイエンスをダブルメジャーして飛びぬけた成績を収めた。

栄えある「ローズ奨学生」にも選ばれた。

こうしてオックスフォードの大学院でスティーブン・ブラッドレーと生涯の友となったのだが、

同時に数々の災厄にも巡り合うこととなる。



・「ローズ奨学生」の金看板はパワーエリートへの超特急切符だ。

マイケルは、オクラホマ州選出の連邦上院議員からは立法担当補佐官に誘われ、

ウォール街の投資銀行からも高給でオファーを受け、

マサチューセッツ工科大学はフェローのポストを用意してくれた。



・だが、彼はそれら全てを断り、インテリジェンス・オフィサーの道を選んだ。

それもCIA(アメリカ中央情報局)やDIA(国防情報局)といったメジャーな機関には興味を示さなかった。 



・最初は財務省のシークレット・サービスに、

続いて商品先物取引委員会の不正取引監視部門に出向するなど、好んで小さな情報組織を渡り歩いてきた。

諜報界の渡り鳥・マイケルが、これまた最小の情報組織、NCMIに移ってきた。



★コメント

歴史と諜報を垣間見れる。

ぞくぞくするほど面白い。