◆畑村洋太郎『新・失敗学。正解をつくる技術』を読み解く


★要旨



・ただ一つの正解、すなわち唯一解によって単純に動くことのない、

「正解がたくさんある時代」がいまという時代だと私は捉えているのです。



・私は「優秀」にも大きく分けると二種類あると考えています。

まずは優等生タイプの人たちです。 



・優等生タイプの人たちは、まず多くの知識を頭にインプットします。

そのうえで、問題を数多くこなすことで、

目前の問題を分析し、類似の解法パターンにあてはめるということを徹底的に学習します。



・彼らが徹底した学習で身につけるのは、分析力、効率性、ミスの少なさといった能力です。

与えられた課題を「正確に素早くこなす」ことが

できるのが彼らの最大の強みです。



・私は二つ目のタイプのほうが本当に優秀だと感じています。 



・それは、「ものごとの本質」を突き詰めて考えているタイプの人たちです。

彼らは優等生タイプの人に比べると、知識量や解答にいたるまでのスピード、

ミスの少なさでは劣るかもしれませんが、そうした人と議論すると、

しばしば新しい視点を提供してくれるので、ハッとさせられます。



・本来なら変化に対応した人材を育成するとともに、

人材の評価の方法、組織の形も変えていく必要があります。



・しかしそうした対応をせず、

ズルズルと後退し続けているのがいまの日本の現状だと私は見ています。



・1960年代のことです。大学の研究室に台湾からやってきた留学生がいました。

その留学生は、研究室にある実験器具を見て、

「こんな高価なものを私が触っていいのか」とびっくりしていました。 



・自分たちで実験して、

そこから新たな学びを得るためには、その器具を使い倒すくらいでないといけません。しかしその留学生にとって、それまで学ぶということは、

欧米や日本のお手本をそのまま吸収することを意味していたようです。



・私にはこの1960年代の台湾からの留学生の姿と、

優等生文化で育った日本の人たちがダブって見えます。



・「正解」をそのまま吸収することが学びであるという文化の中で育っていると、

それ以外のやり方があるということすら気づかなくなります。



★コメント

失敗学というのは、我々人間にとって、永遠のテーマだと思う。