◆高木良男『ナポレオンとタレイラン』を読み解く
★要旨
・フランスの外相だった、タレイランは、
名門の家に長男として生まれながら、足の障害のため、
伯爵の称号を継ぐことができなかった。
・軍人の家系でありながら、僧侶にならなければならない苦渋の思いは、
少年時代からタレイランの逆境に負けない強靭な性格を作り、
孤独の中で読書と思索にふける習慣を育てたのだった。
・タレイランは、当時の有名な学者や財政家、
劇作家などの友人を毎週自宅に招いて、英国の政治や財政の造詣を深めた。
ヴォルテールなどの哲学者の著作に親しみ、
自由思想の哲学を信奉していた。
・青年時代のタレイランは、片足が不自由であったが、
美男子であり、また寡黙でありながら、
人の心をとらえる機知とユーモアにあふれる寸言で
社交界の噂になっていた。
・ナポレオンは、妻のジョゼフィーヌから
パリの社交界の付き合いで知っているタレイランのことを聞き、
彼の経歴や教養の深さを知った。
タレイランを自分に欠かせぬパリの政界の相談役と考えた。
・タレイランは、
「フランス革命の前に生きた者でないと、人生の快楽がどういうものか知ることはできないだろう」
と語った。
それは優雅な爛熟した文化の時代であった。
・18世紀末の王朝最後のパリにおいて、
貴族や銀行家たちのサロンでは、
人々が集まって詩や戯曲が朗読された。
また音楽が演奏され、夜食をとりながら哲学や文学、芸術について
知的な会話がはずみ、夜遅くまで各国の政治や経済が論じられた。
・ナポレオンは、
片方の足を引きずるように歩くタレイランの悠揚迫らぬ態度に、
奥深い人柄を感じた。
・ナポレオンは、
今まで文通を交わしてフランスの政治と外交について
語り合ってきた相手であるタレイランが、
王朝時代の教養と知識を身につけながら革命に身を投じ、
政界の裏面に通じたベテランの政治家であることを
ナポレオンは知っていた。
・タレイランは、
ナポレオンの天才的な長所を若い時からよく知っていたがゆえに、
彼の欠点も知り尽くしていた。
ナポレオンを憎んだり恨んだりする立場を超越していた。
★コメント
フランスの歴史も興味深い。
調べていきたい。