◆鮫島浩『朝日新聞政治部』を読み解く



★要旨



・官房長官には総理より多くの情報が集まる。



・官房長官は「内閣の要」と言われる。

すべての政策や人事に深くかかわる。

総理に上がる情報は、その前に官房長官の手で取捨選択される。



・もうひとつの武器は、毎日午前と午後に官邸で開く官房長官会見だ。

この場の発言が政府の公式見解となる。



・何をどこまで公にするのか、どういう言い回しにするかが、政局や政策の流れを決める。

官房長官は記者会見で政治の主導権を握ることができるのだ。



・与謝野官房長官の記者会見の受け答えは味わいがあった。

私は政治家を厳しく追及するのが好きだったが、

与謝野氏は答えるべきことは答え、かわすべきことは見事にかわした。



・文学的、芸術的な表現を交えて受け流していく。それでも食い下がる私とのやりとりをまるで楽しんでいるようであった。

自らの識見、理解力、答弁力に対する圧倒的な自信の裏返しであったのだろう。



・政治部記者の官房長官番は、

自民党幹事長番と並んで政治取材の中核である。

官房長官と幹事長には政権の重要情報が集約される。



・番記者がどれだけ情報を取れるかは、各社の政治報道の「勝ち負け」に直結する。



・朝から晩まで政治家や官僚の面会が相次ぐタイトな日程をかいくぐり、

他社を出し抜いて情報を得なければならない。

官房長官に食い込んだ番記者は深夜や週末にサシで取材する機会を得る。



・官房長官には外交から内政まで政策全般、選挙から国会まで政局全般、

さらに公安情報まで、ありとあらゆる情報が集まる。

官房長官が総理の意向を踏まえつつ「OK」したものだけが「政府の意思決定」となる。



・激務の官房長官をサシでつかまえるのは難しい。

朝晩に電話するしかない。

携帯番号を教えてもらい、

電話に出てもらえる信頼関係をつくらなければ仕事にならない。



★コメント

政治中枢の基礎的な情報を知れて、面白い。