◆廣瀬陽子『未承認国家と覇権なき世界』を読み解く
★要旨
・二〇一四年は、国際政治における一つの大きな転換点として後世に記憶される年になるだろう。
現在、世界は「ポスト・冷戦期の終わり」を迎えている。
圧倒的な覇権国が消滅し、
地域主義が高まる一方、リアリズム的視点からとらえれば多極化による不安定化が進んでいるといえよう。
・そのような不安定化した世界を読み解くカギが「未承認国家」である。
・未承認国家の問題は、実は日本人にとっても他人事ではない。
未承認国家は現代の国際政治の重要なアクターであるだけでなく、
国際政治の既存概念を揺るがす存在であり、地球に住む人間にとって、誰もがかかわらざるを得ない問題だからだ。
・また、日本は未承認国家のれっきとした宗主国であったという歴史も持つ。
・建国の経緯とパトロン国家の傀儡であるかどうかは、
未承認国家の性格を見るうえでは重要なポイントとなる。
それは、現代の未承認国家を見るうえでもカギとなる。
・コソヴォ問題が未承認国家問題のパンドラの箱を開けてしまったこと、
それが現在のウクライナ危機へとつながることなどを見ていく。
・記憶に新しい二〇一四年三月の、
ウクライナ領であったクリミアのロシアへの編入という事件も、
実はこの未承認国家についての理解があるとかなりクリアになる。
・しかも、その後も続くウクライナの東部(ノヴォロシア)の分離独立の動きは、
今後、未承認国家という形に帰結する可能性も否めない状況にある。
・本書は未承認国家問題をより広い文脈で知っていただくことに第一義的な目的があるが、
未承認国家という問題は多くが現在進行形で結論が出ていないものばかりだ。
★コメント
かなり、マニアックなテーマであるが、
廣瀬さんの独特の表現力により、理解が深まる。
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