◆村井吉敬『スハルト・ファミリーの蓄財』を読み解く
★要旨
・1999年の雑誌タイムによれば、
インドネシアのスハルト・ファミリーの蓄財額は、
150億ドル(1兆6500億円)になるという。
・1997年の世界長者番付で、
スハルトは世界第6位の金持ちになっていた。
・1950年代に身につけた錬金術。
企業と財団から資金を集める。
・スハルトは大統領就任以前、
中部ジャワ州の州都スマランにある陸軍第4軍管区に勤務していた時代に
蓄財の方法を身につけたという。
・当時は、個人の蓄財というよりも、
貧しい軍の財政を何とか面倒みようという動機だったかもしれない。
ここで身につけた蓄財術と人脈は、
大統領になってからフルに生かされていく。
・どうやってカネをつくっていったか。
3つの方法があり。
1.1957年に国有化された旧オランダ企業からの資金調達。
2.財団を設立して、寄付を集め、
この資金をもとに華人との合弁会社を設立する。
3.華人との合弁企業の設立。
華人が資金を調達して経営し、軍が政府と折衝する。
・軍が特権を付与し、
その特権をバックに華人商人たちが商売で大儲けする、
その見返りを軍やスハルトの財団に寄付する。
財団は、そのカネをさらに投資に向ける。
これは、大統領になってからのスハルトの蓄財方法そのものでもある。
・膨大な仲介手数料がファミリーの懐に入った。
武器ビジネスへのファミリーの参入は、国軍を怒らせた。
ファミリーが武器ビジネスにかかわっているがゆえに、
軍は不必要に高いカネを払わされているからである。
・インドネシアでは、鉱山資源、石油・天然ガスなど
重要な天然資源の採掘現場では必ずといってよいほど、
国軍による人権侵害が起きていた。
・国軍が地元住民の人権や尊厳を奪ってまで守ろうとしている「開発」は、
そのままスハルト・ファミリーに富を与えることになった。
★コメント
新興国には、独特の経済システムがあるようだ。
見極めたい。