◆乾正人『影の首相。官房長官の閻魔帳』を読み解く
★要旨
・官房長官の善し悪しが、政権の命運、いや国家の命運を決める。
官房長官を語ることは、日本政治を語ることである。
・よく知られているように、一日二回の記者会見をこなす内閣の「広報マン」であるとともに、
与党や各省庁との調整を行う「調整役」でもあるのは確かなのだが、
各省大臣のようにきっちりとした所掌が決まっているわけではない。
・要は、官房長官になった政治家の能力や資質によって、
守備範囲が大きく変わる伸縮自在のポストなのである。
・悩み深き首相に寄り添い、良き相談相手であるとともに、
ときに首相の不興を買っても苦言を呈し、
間違いを正す存在で官房長官はあらねばならない。
・そのためには、内閣官房だけでなく、
各省庁や有識者、報道関係者らから幅広く情報を集め、
的確な選択肢を準備しておく必要がある。
・官房長官の前身は、旧憲法下で内閣書記官長という役職だったが、
政党人(鳩山一郎も務めた)よりもベテラン官僚が務めることの方が多く、
現在の官房副長官(事務方)に近い存在だったといえる。
・最も有名な内閣書記官長は、終戦時の首相、鈴木貫太郎に仕えた迫水久常だろう。
ポツダム宣言を受諾するかどうかをめぐって紛糾した鈴木内閣を裏方として首相を支えた。
・ことに終戦を決めた八月十日の御前会議は、
迫水の計略が功を奏した。
・官房長官の力の源泉である官房機密費という「魔法のカネ」の実態はどうなのか。
こうした官房長官にまつわるナゾの数々を解き明かすとともに、
平成・令和の官房長官三十人、ひとり一人を僭越ながら五段階評価で採点しようというのが、
この本の趣旨である。
★コメント
官房長官の仕事術から
ビジネスパーソンが学べることは多い。
参考にしたい。