◆渡部昇一『ハイエクを読み直す。自由をいかに守るか』を読み解く
※要旨
・ハイエクがいいたかったのは、
経済の不振などという次元の問題ではなく、
自由市場に政府が干渉すると、
結局人間の自由が根こそぎ失われる、
ということなのである。
・ハイエクの思想のエッセンスは、
『隷従への道』の中にあることは、
晩年のハイエク自身も公然と認めている。
・『隷従への道』という本の重要さをわかってもらうために、
次のようにいったほうがよい。
「19世紀から20世紀にわたって、最も大きな、
最も強力なマインド・コントロールを世界にかけたのは
マルクスの『資本論』でもある。
そのマインド・コントロールから人類を解き放すためにの
最も有効な治療薬となったのは、
ハイエクの『隷従への道』である」
・自由主義こそが経済繁栄を生む。
・自由は、民主を凌駕する。
・統制と保護は、発展を阻害する。
・権力者は、未来を見通せない。
・法の確立が、強い経済を生む。
・お金の自由こそが、幸福の源なり。
・私有財産の肯定が、活力をつくる。
・全体主義体制は、人間性を破壊する。
・ハイエクはオーストリアの学者で、
厳密な意味で計量的な経済学を専門としていた。
・自由主義という思想は、
18世紀ごろにスコットランドから出てきて、
緩やかにイギリスで伸びてきた、
というのがハイエクの見方。
・自由主義哲学の創始者たちとは、
ヒューム、ファガーソン、アダム・スミスなどの
スコットランドの哲学者たちだ。
・彼らの教えは、
「経済的自由なくして、個人的自由も政治的自由もない」
ということ。
・アダム・スミス以降、
19世紀の政治思想家のなかに、
「社会主義は隷従を意味する」
と警告する人たちがいた。
ド・トクヴィルやアクトン卿たちがそうだ。
・ハイエクの主張は、
のちにサッチャーに引き継がれて、
イギリス経済再生のきっかけとなった。
・ハイエクの書物こそ、
「古くなるにつれてますます時宜を得たものになる、
という逆説的運命を持っている」
といえる。
★コメント
本書も10年以上前の本であるが、
色あせない。
読み返したい。