◆稲垣栄洋『雑草が教えてくれた日本文化史』を読み解く
★要旨
・「雑草のようなたくましさ」は良い意味で使われる。
・「あなたは、雑草のような人ですね」
と言われると、どこか褒められたような気になる。
もちろん、「雑草」と言われて嫌な思いをする人もいるだろうが、
「あなたは、温室育ちの
人ですね」と言われるよりも、雑草と言われたい人の方が多いだろう。
・温室育ちの作物は、
とても良い環境で大切に育てられたエリートの植物である。
しかし、日本人はエリートで
あるよりも、雑草であることを好むのである。
・しかし、 「雑草」が褒め言葉に使われたり、
「雑草」と呼ばれて喜ぶのは、
私が知る限り日本人くらいのものだろう。
・深い森の中を歩いているとき、
何か気配を感じることはないだろうか。
・誰もいない森の中で、
孤独に植物の調査をしていると、
私は、森のどこかから、
誰かに見られている感じがすることがある。
・この気配は、どこから来るのだろうか。
周りの木々や風に揺れる草花や、
大きな石に気配を感じることもある。
昔の人は、この感覚を神と感じたのかも知れない。
おそらくは、
これが、ありとあらゆるものに宿る八百万の神である。
それでは、砂漠をさまようとき、
人はどこに神を感じるだろうか。
・「大きな力に逆らわず、しなやかに受け流す。
そして、その逆境を力に変える」
これが雑草の戦略である。
・その姿は、
大きな変化を乗り越えてきた日本人の姿をまさに連想させる。
・雑草は踏まれたら立ち上がらないのである。
・「踏まれても踏まれても花を咲かせ、実を結ぶ」
これが雑草の生き方である。
・種子さえ残すことができれば、
後のことは何のこだわりもない。
別に縦に伸びなければいけないということもないのだ。
・だから、雑草は縦に伸びたり、
横に伸びたり、伸び方も自由自在に変化させる。
・日本人はしなやかな強さで、
柔軟に変化することができる。
★コメント
雑草から学ぶ点は多い。
まるで、老子のようだ。