◆兼原信克『自衛隊最高幹部が語る、令和の国防』を読み解く
★要旨
・令和・日本の国際戦略環境は厳しい。
原因は、天翔ける龍となった中国の台頭にある。
・今の中国には、工業化初期の国が陥りがちな過ち、すなわち過剰なナショナリズム、
力への過信、領土と勢力圏の拡張への野心といった症状が見て取れる。
・中国は、私たちと同じ自由主義的な価値観を共有しない。
・既に中国の経済規模は日本の3倍、米国の7割を超えた。
・最早、米国の周りに団結する以外、
日本をはじめとする西側諸国が中国と対峙するすべはない。
中国が政治的に成熟し、
責任ある国家となるのは当分先のことだろう。
・この圧倒的な圧迫感は、
日本が明治時代に帝政ロシアに怯えたり、三国干渉時に独仏露の欧州列強から感じたりしたものと同じである。
日本の安全保障環境は、100年ぶりに切迫してきている。
・明治の日本は、
日英同盟を支えにして帝政ロシアとの関係をのりきり、
戦後は日米同盟を支えにしてソ連邦との関係をのりきった。
・日本は、同盟国である米国とともに地域の戦略的安定を確保し、
自衛隊を祖国防衛と国際平和のために戦える軍隊に鍛え上げ、
自由貿易の旗を高く掲げ、地域の経済統合を進め、
個人の尊厳の絶対的平等に立脚した自由主義的な価値観を守り、
世界史を導くことのできる戦略を提示せねばならない。
・そして米国のリーダーシップの復権を促し、
ともに西側を糾合するべきである。
・そうして初めて、
超大国化しつつある中国との関係を安定させ、中国と諸々の利益調整が可能となる。
それが21世紀の大戦略である。
・安全保障、危機管理は、日ごろの備えがすべてである。
孟子が言うように、国は、憂患に生き、安楽に死するのである。
・総理大臣は、その椅子に座った瞬間から、
あらゆる危機に対する準備ができていなければならない。
・今日の若い政治家に、
あるいは若い日本人に、
世界最高水準にあるわが自衛隊最高幹部の考えを聞いてほしい。
・また、日本を代表する一流の軍人の意見が、
外交、政治、経済を担う第一線の人々の意見と常日頃から混ざり合って、
日本政治の「一般常識」になって欲しい。
★コメント
トップレベルの戦略思考を身に付けたい。
彼らの意見を噛み締めたい。