◆岡崎守恭『遊王。徳川家斉』を読み解く
★要旨
・家斉は五十年というとんでもない長い期間、将軍の座にあった。
これは第二位で二十九年の吉宗をはるかにしのいでいるばかりか、
室町時代や鎌倉時代の将軍を含めても圧倒的な第一位である。
・征夷大将軍を辞めてから最高位の官職である太政大臣の栄誉を得た人物はいるが、
現職の征夷大将軍のまま太政大臣にまで昇りつめて二つの職を兼任したのも歴史上、家斉だけだ。
・江戸時代は長く続いていた戦乱の世に終止符を打ち、平和を維持したことが評価され、
世界史上でも「パックス・トクガワーナ」として特筆されている。
・「家斉の時代」はその中でもとりわけ「泰平の世」として知られているのである。
・家斉がつくった多すぎる子女の扱いに困り、
徳川幕府が養子や嫁入りの形で各地の大名家に押し付けたのは事実だが、大名家もこれを受け入れることで、
自らの家格の引き上げや借金の棒引きというメリットを享受した。
・家斉は「権威と安定」の象徴であり、ある意味で「最強の将軍」だった。
・実際、家斉の死去と同時に徳川幕府は威権を失って傾き始め、
次の将軍の家慶の晩年にはペリーが来航、
これを機に一気に坂を転がり落ち、瓦解してしまう。 徳川幕府が最後の光芒を放ったのは「家斉の時代」だった。
・抜本的な改革をなしたわけではなく、
対症療法の政治に終始したとも言えるが、
強引に無理なことをしないのが逆に「泰平の世」には向いていた。
・江戸時代は享保、寛政、天保の三大改革が有名だが、
庶民の生活という視点で見ると、
実際にはその時代は何かと締め付けが厳しくて暮らしにくかっただろう。
・これに対して「家斉の時代」は武家も町人もいわば羽を伸ばせたのではないか。
★コメント
なかなか面白い歴史の見方である。
学びたい。
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