◆大木毅『独ソ戦。絶滅戦争の惨禍』を読み解く

★要旨

・一九四一年六月二二日、ナチス・ドイツとその同盟国の軍隊は、独ソ不可侵条約を破って、ソヴィエト連邦に侵攻した。
以後、一九四五年まで続いた、この戦争は一般に「独ソ戦」と呼ばれる。

・ドイツ、ないしは西欧の視点から、第二次世界大戦の「東部戦線」における戦いと称されることも少なくない。

・独ソ戦を歴史的にきわだたせているのは、そのスケールの大きさだけではない。

・独ソともに、互いを妥協の余地のない、滅ぼされるべき敵とみなすイデオロギーを戦争遂行の根幹に据え、それがために惨酷な闘争を徹底して遂行した点に、この戦争の本質がある。

・およそ四年間にわたる戦いを通じ、ナチス・ドイツとソ連のあいだでは、ジェノサイドや捕虜虐殺など、近代以降の軍事的合理性からは説明できない、無意味であるとさえ思われる蛮行がいくども繰り返されたのである。


・そのため、独ソ戦の惨禍も、日本人には想像しにくいような規模に達した。


・ 残念ながら、日本においては、こうしたパウル・カレル以来の独ソ戦像が、今日までも強固に残存しているのが実情である。

・ところが、その一方で、一九八九年の東欧社会主義圏の解体、続く一九九一年のソ連崩壊によって、
史料公開や事実の発見が進み、欧米の独ソ戦研究は飛躍的に進んだ。

・日本との理解・認識のギャップは、いまや看過しがたいほどに広がっている。 

・本書は、こうした状況に鑑み、現在のところ、独ソ戦に関して、史実として確定していることは何か、定説とされている解釈はどのようなものか、どこに議論の余地があるのかを伝える、いわば独ソ戦研究の現状報告を行うことを目的とする。

・日本においては、何よりもまず、理解の促進と研究の深化のためのスタートラインに立つことが必要かつ不可欠であると考えるからだ。


★コメント
あらためて、
歴史を学ぶ意義は何か、
を考えさせられた。


◆大木毅
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