◆徳本栄一郎『エンペラー・ファイル。天皇三代の情報戦争』を読み解く(その2)
 
★要旨
 
・田中清玄を批判する者がいる一方で
彼を「国士」 「愛国者」と評価する人々が
いたのも事実だ。
 
・私が田中に興味を抱くよう
になったきっかけ、
それはロンドンにある英国立公文書館で、
偶然、彼に関するファイルを
発見した時であった。
 
・かつて英国は世界の陸地の
四分の一を支配し、七つの海を自由に
航海する世界帝国で、インド
やアフリカなど広大な植民地は
「陽の沈まぬ大英帝国」と形容された。
 
 
・その覇権を支えたのが
ずば抜けた情報収集力である。
全世界に散った外務省、国防省、
MI6(英国情報局秘密情報部)の要員は、
現地から様々な情報を本国に送っている。
 
・その国の政治、経済情勢はむろん、
有力者の性格や健康状態、
はては王室の内部事情と多様で、
これらは綿密に分析、蓄積された後、
外交交渉に利用された。
 
・その膨大なファイルを
保管しているのがロンドンの公文書館である。
 
・明治から大正、昭和、
そして平成にかけて駐日大使館などが作成した
ファイルで、
英国の視点で見ると
日本の近現代史の真相が浮かび上がる
体験が何度もあった。
その一つが、田中清玄ファイルだった。
            
 
・その天皇家が直面した最大の危機が、
昭和の時代の戦争だった。
 
・中国で広がった戦火は軍の暴走と
国民の熱狂を生み、
やがて英米との全面戦争へ、
そして国土が焦土と化して無条件降伏で幕を閉じた。
 
 
・たった一発の銃弾、
たった一つの誤算が日本と世界の空気を変え、
国家を崩壊寸前まで追い詰めた。
 
・「あのとき、こうしていたら」
という自責の念に駆られたのか、
昭和天皇は戦後、
独自の情報ネットワークを構築していく。
 
・謁見した海外の要人から直に国際情勢、
特に共産主義の脅威を聞き出し、
その情報源が英米の有力政治家から
米国の財閥ロックフェラー家まで及んだのは、
通訳の真崎秀樹の証言テープが明らかにした。
 
・また田中清玄も、
入江相政侍従長を介して
国内外のインテリジェンスを届け、
欧州のハブスプルク家から
アラプやアジアの指導者、
山口組組長まで稀有な人脈を持つ彼は、
力強い援軍になったはずだ。
 
 
★コメント
長い歴史のなかに、
埋もれたエピソードがたくさんある。
ひとつ一つ紐解きたい。
 
 
 
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