◆岩田健太郎訳『復興するハイチ。医師たちの闘いの記録』を読み解く
ポール・ファーマー著
(副題。震災から、そして貧困から。医師たちの闘いの記録2010ー11)
★要旨
・ハイチは正当な革命を経て
1804年に建国された。
それは世界で最初の黒人による共和国であった。
・奴隷制度の鎖を断った最初の国であり、
皇帝ナポレオンに撤退を強いた
最初の国でもあった。
・ラテンアメリカの土着の人びとや奴隷を、
植民地主義国家の迫害から救おうと
奮闘していたシモン・ボリバル
を支援した、唯一の国でもあった。
・悲しいかな、このような
自由と自決の歴史は二〇〇年にわたり
列強から政治上経済上の怒りを買い、
その結果生まれた政策は
ハイチの貧困化を招いた。
★訳者あとがき
・ファーマーは
日本ではそれほど知名度は高くありません。
・ポール・ファーマーは、
医師に必要な全ての属性を具えた、
一種の理想像だと思います。
・マサチューセッツの
ノースアダムスで生まれたファーマーは、
デューク大学で医療人類学を学び、
その後ハーヴァード医学校に進学
して医師 (MD)になり、
さらに医療人類学の博士号を取得しています。
・自然科学に属する医学と、
社会科学に属する人類学の両方を
専門に持つファーマーの知性、幅の広さ、
懐の深さが察せられます
・ファーマーは行動の人でもあります。
一九八七年、彼はオフェーリアダールや
ジムキムらとパートナーズインヘルス(PIH)を設立し、
ハイチのカンジュで医療活動を開始します。
・貧しい人にまっとうな医療を提供しようと
奮闘するファーマーとPIHの有り様は
本書でも十分に描かれています。
・PIHは活動拠点をロシア
ルワンダ、レソト、マラウィ、
ペルーと拡大していきます。
ファーマーは各地を飛び回りながら、
臨床医として患者を治療します。
・オーガナイザーとして組織を大きくしたり、
資金獲得に飛び回ります。
・そう、
ファーマーは優れた臨床医にして、
洞察力豊かな人類学者、
教育者としても一流で、
したたかなネゴシエーターでもあり、
組織の運営や企画立案能力も高く、
学術研究にも優れ、
かつ患者に対する温かいまなざしと
ウイットまで持っています。
・清濁あわせ飲む度量もあり、
単にナイープな正義漢ではありません。
・医師としての理想像がここにある、
と訳者が思うのは、そういう理由からです。
・ファーマーは訳者にとって、
ロールモデルですらありません。
・あまりに気高すぎて、
近づこうという気を失わせるくらい、
偉大な存在です。
★コメント
この世の中には
このようなスーパーマンがいるのかと、
圧倒された。
彼のような人を知るだけで、
我々も触発される。
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