◆大木毅・訳『マンシュタイン元帥、自伝』を読み解く

★要旨


・エーリヒ・フォン・マンシュタイン元帥と
いえば、戦史、軍事史に関心を
持つものはいうにおよばず、 
広く歴史に興味を抱く、
あるいは、組織の運用を考える人々にとっても、
よく知られた人物であろう。

・従って、その生涯を概観することは、
必ずしも必要ではないのかもしれないが、
念のため、最初にまとめておこう。

・一八八七年、
ベルリンに生まれたマンシュタインは、
軍人としてのエリートコースを歩んだ。

・陸軍士官学校、陸軍大学校を経て、
陸軍参謀本部作戦部長、
参謀次長などの要職を歴任。

・第二次世界大戦開戦時には、
ドイツ陸軍の主要大規模編制の
一つであるA軍集団参謀長となっていた。

・マンシュタインは、その職にあって、
有名な「マンシュタイン計画」、
アルデンヌの森を突破して、
英仏連合軍を分断、
各個撃破才る作戦を立案したのである。

・これは、戦略次元の不利を、
作戦次元の成功でくつが
えしたという点で、
世界戦史上まれにみる
偉功だったといってよい。

1941年に開始された独ソ戦では、
装甲軍団長、軍司令官、軍集団司令官と累進。

1942年のセヴァストポリ要塞攻略、
1943年はじめのソ連軍冬季攻勢の撃砕と
いった戦功をあげたが、
ヒトラーの命令に抗しつづけたために、
1944年に解任された。

・敗戦後は、
イギリス軍軍法会議により、
東部戦線の管轄地域における住民虐殺に
関与したかどで有罪判決を受け、
十八年の禁固刑に処せられる。

・が、減刑され、釈放されたのちは、
ドイツ再軍備に関する諮問役を果たし、
ドイツ連邦国防軍の創設に
大きな影響をおよぼした。

・一九七三年に死去した際には、
軍礼葬の処遇を受けている。


・かくのごとく、この自伝は、
単なる軍人の回想録を超えた、
ドイツ近現代史への貴重な証言である。

・さらには、
マンシュタインという
十九世紀的教養人の思想と
生涯を知る上で不可欠の資料といえる。


★コメント
ドイツの歴史を知るうえで
読んでおきたい一冊だ。


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