◆渡瀬裕哉『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか』を読みとく


★要旨

・筆者は、 金融機関を中心とした日本企業や、感度の高い一部の経営者に、米国政治
の状況を分析して提供することを生業としている。


・それらのサービスを提供している背景には、 筆者自身が歩んできた独特の「選挙」と「政策」のキャリアがある。


・18歳の時、初めて日本の議員事務所の門を叩いてから、既に20年以上の年月が流れたことに自分でも改めて驚く。


・まだ丁稚だった頃、毎日のように泥水をすすりなが
ら地元活動に汗を流した日々は、今でも鮮明な記憶として残っている。


・その中で、筆者は門前の小僧として先輩らにノウハウを叩き こまれた結果、地方議
会選、市長選、知事選、国政など、次第に小中大へと、さまざまなレベルの選対を取り仕切るようになった。


・この時、身に付けた選挙に関する情勢分析と実務スキルは、現在でも血肉となって骨身に染み付いている。


・複数の新興政党や、知事市長らのマニフェスト作成という機会に恵まれ、一定の政策的な知見、および選挙PRのノウハウを得られたことは非常に幸運だった。


・事務所に訪ねてくる、多くの利害関係者の主張を裏方として調整し、候補者の演説
草稿や政策集の文言に落とし込んでいく作業は、 政策の背景を理解する上で貴重な経
験となった。



・「前近代的なアイデンティティ」 への対処には読書が有効。


・前近代的なアイデンティティとは、地縁血縁身分などの自然発生的な基礎環境によって付与されるものを指す。


・このようなアイデンティティが絶対的な前提とされた場合、自らのアイデンティティを覆い尽くされないために何が必要だろうか。


・それは「読書」である。
相対的に未開な環境で育ってしまった場合、人間は自らの頭で思考する能力が奪われてしまいがちだ。


・しかし、それは本当に思考力が存在しないのではなく、単純に知識不足によって物事を考える視座が不足しているだけのことだ。


・したがって、前近代的なアイデンティティの分断から抜け出るために必要なのは、
情報のシャワーを浴びることである。


・書物は先人の知恵の固まりであり、読書によって多様な視点や考え方を身に付ける
ことで、前近代的な思考から抜け出すために、自分が何をすべきかを悟るだろう。


★コメント
論理的であり、
体験談も盛り込んだ文章が魅力的である。
いまの日本に必要なことが凝縮されている。


★渡瀬裕哉
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