◆ルトワック『ルトワックの日本改造論』を読み解く(奥山真司、訳)
(奥山真司、訳)

 


※要旨

 

 

・日本人たちにとって最も重要なものは、
子どもの数を増やさなければならないということだ。


・とりわけ多くの老人たちを支える人間の数が少ないのは致命的だ。
だからこそ、本書で説かれる戦略、戦争、
そして平和というのは、
子どもたちの話から
始めなければならない。


・つまり無料の不妊治療を提供し、
無料のチャイルド・ケアを全国民に提供することによって、
その数を増やすべきだということだ。


・国防と同じくらい大切なもの


・日本が国民に提供しなければならないのは、
「安心して子供を産み、育てられる制度」である。


・本格的な国家情報機関の設置を
もう一つ、日本にとって重要なのは、
一刻も早く本格的な国家情報機関を設置することだ。


・ほぼすべての国が、情報機関、
あるいは公安機関を持ち、
複数の組織のネットワーク
を国内外に張りめぐらせ、
自国の安全保障に資する情報を収集している。


・しかも財政の縛りも、
他省庁との細張り争いもなく、
無制限に近い自由を与えられながら、
社会のあらゆる分野で活動しているのだ。


・情報活動は、
世界のどの国にとっても重要である。


・アメリカのCIAの活動はもっぱら
英字新聞とインターネットに頼りきりで、
その活動の約九割には価値がないが、
国の対外戦略立案・遂行能力は
「どれだけ正確な情報を収集し、分析できるか」にかかっている。


・逆に言えば、一国の戦略の水準は、
その情報収集・分析能力の水準を超えられない。


・CIAは外国語も、
各国の深い歴史も知ろうとしない体たらくで、
リビア、イラク、
アフガニスタンなど中東諸国における
アメリカの外交・軍事作戦の失敗の背景には、
CIAによる情報収集の失敗がある。


・私は米軍がタリバン掃討作戦を行ったときにアフガニスタ
シに滞在していたが、
アフガンの主要言語であるダリ語、
パシュトー語、ウルドゥ語を、
米軍人の誰も理解できなかった。
これで情報活動が成功するはずもない。

 

・日本も過去においては高度な情報活動をきちんと行動っていた。
有名な「南満州鉄道(満鉄)調査部」は
当時世界でも最高水準の調査レポートを作成していた。


・彼らはハルピンやその他
の場所で、ロシア人をエージェントにして情報を集めていたのだ。
当時、東京では松岡洋右外務大臣がドイツとの同盟を推進していた。


・しかし満鉄調査部
の報告書によれば、
「ソ連がドイツに勝利する」とあった。


・つまり日本はソ連軍の中に優秀なエージェントを持っており、
そのエージェントはソ連軍の一部と
同行していたということだ。


・にもかかわらず、東京の外務省高官たちは、
ドイツが勝つと信じ込んでいたのだ。


・満鉄調査部は日本の陸軍、関東軍に情報を流しており、
ノモンハンにおける日本軍とソ連軍の戦闘も詳しく分析して、
「ソ連とは戦わないほうがいい」との結論を出していた。


・だが、ドイツ大使館が流していた
「いかにドイツが欧州戦線で勝利しているか」との
プロパガンダに引っかかってしまった。


・日本は自信をもって、
適切な訓練によって情報員を育てるべきだ。

 


※コメント
ルトワックのシンプルで
説得力のある言葉に感心する。
そして、何より諸外国のことや、
日本のことについても詳しく、
さすがである。
見習いたい。


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