◆内藤陽介『香港歴史・漫郵記』を読み解く


※要旨


・「郵便学者」という看板を掲げて生活している僕は、
なんだかんだ言っても、
それなりに世界の国々の切手を見ていて、
大抵の国の主な景色や文化遺産、偉人や民族衣装の類は、
切手の絵柄として頭の中にインプットされている。


・逆に、ある国のイメージを聞かれれば、
ほぼ間違いなく、
まずその国の切手が頭に浮かんでしまう。


・極論すると、僕の場合には、
切手を通して世界を見るということが
無意識の習慣になっていて、
切手のイメージで置き換えられた世界像を、
もう一度、切手以外の言語に置き換えるという
思考回路が出来上がっていると
言っても良いのかもしれない。


・『香港歴史漫郵記』と題するこの本も、
切手や郵便を絡めつつ、
自分の旅の体験をスパイスとして、
香港の歴史を語るというスタイルを目指している。


・華人の世界では、
国家というものは基本的に信用されないといわれる。
「上に政策あれば下に対策あり」
という逞しさは、おそらく、
香港社会にも抜きがたく染み付いているのだろう。


・北京条約によって清朝が
中国人の海外渡航の自由を認めさせられた背景には、
事情があったわけで、
条約によって苦力貿易が事実上公認されると、
香港は苦力貿易の一大拠点として
活況を呈するようになる。


・こうして、アヘンと人身売買による「汚れた富」が、
香港の経済的な繁栄を支えるという図式ができあがった。

 

・僕が心配するまでもなく、
これから先も、案外、
英領香港の残像はしぶとく生き残ってくれるような気がする。


・僕が最初の本『それは終戦からはじまった』を
出したのは1996年の年明け早々。
29歳になる直前のことだ。


・それからしばらく、
この本を抱えてあちこち歩き回っていたが、
その過程で降ってきた企画が
僕の2冊目の本になる
『切手が語る香港の歴史』だった。


・29歳の僕は、
とりあえず「香港」という与えられた
お題をこなすことしか考えていなかった。
本が出てしまえば、
香港とのつきあいもそれでお終いと思っていた。


・しかし、皮肉なことに、
『切手が語る~』を出した後になって、
急に僕のところに切手やカバーが集まりだした。


・その後も、
なんとなく香港の切手やカバーを
集めていたのだが、思い切って、
2004年に香港で開かれたアジア国際切手展に
コレクションを出品した。


・このときは、
それまで勤めていた大学を辞める直前で、
大学を離れて「郵便学者」の看板で
生きていけるんだろうかと
ナーバスになっていたから
「下手な作品はつくれないぞ」
という相当なプレッシャーがあった。


・結果的に、僕の作品は、
部門最高賞を受賞した。
受賞結果を聞いたときは、
嬉しいというより、まずはホッとしたというのが、
偽らざる心境だった。

 

※コメント
香港の背景と筆者の旅行珍道中の話が
混ざり合って面白い。
まさに混沌とした香港にふさわしい内容だ。

 


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