◆福井雄三『「坂の上の雲」に隠された歴史の真実』を読み解く

 


※要旨


・「国家は敗戦によっては滅びない。
国民が国家の魂を失ったときに滅びる」


→ドイツの政治家ビスマルクの語った言葉である。


・治乱興亡の歴史の中で、
戦勝と敗戦の洗礼の波を繰り返し
受け続けてきたヨーロッパ諸国と異なり、
日本の場合、第二次大戦の敗北は、
国家開闢以来初めて味わった体験であった。


・日露戦争において、
乃木希典の強みとして見落としてならないのは、
彼は精神的プレッシャーに強いということである。


・一兵卒に至るまで奮い立たせたのは、乃木の器量である。
「勇将の下に弱卒なし」という格言がある。


・旅順のあの異常な戦闘の真っただ中で、
乃木が少なくとも外面的には平常心を失わず、
2人の息子が戦死した時も顔色一つ変えず、
司令官の職務を全うしたということ、
これこそがまさに第三軍の士気を高め、
一兵卒に至るまで愛国心の塊と化して、
奮い立たせた原因であり、
ここにこそまさに乃木希典の将に将たる、
名将たる所以があると言えよう。


・「ノモンハン事件は惨敗」は、
はたして史実なのだろうか。


・おそらく大部分の人々が、
「ノモンハン事件」について
次のような連想をすると考えて、間違いない。


→「昭和14年に起こったノモンハン事件は、
日本陸軍が共産ソ連の圧倒的に優れた機械化部隊と、
満蒙国境地帯のノモンハンで戦って、
完敗した事件である。
これは精神主義に凝り固まって科学技術を軽視していた、
昭和の日本軍部の愚かしさを象徴する事件である。
したがって、ノモンハン事件は、
昭和に入ってから日本という国家が辿った、
破滅の軌跡を象徴する出来事であり、
日本の現代史の諸矛盾は、まさにこの一点に集約される」


→このようなイメージが現在の日本人の心に
形成される端緒となったのが、
五味川純平の小説『ノモンハン』である。


・五味川といえば、
自他ともに認める反戦作家である。


・五味川の見解を踏襲して、
『ノモンハンの夏』というベストセラーを書いたのが、
作家の半藤一利である。


・半藤のこの作品は平成10年に出版されるやいなや
驚異的な売り上げを記録した。
これは、ノモンハン事件を昭和陸軍の諸悪の根源の
象徴とみなす考え方の、
決定版となったかのように見えた。


→ところが皮肉なことに、
ちょうどこの『ノモンハンの夏』の初版が出る前後から、
ソ連崩壊後の情報公開により、
従来は門外不出の秘密事項とされてきた極秘文書が、
公文書として次々に公開発表されるようになった。


→その結果、五味川や半藤の唱える、
「ソ連の進んだ機械化部隊のために、
ノモンハンで日本軍が大敗した」という主張は、
事実とは逆であり、
実際にはノモンハン事件は、日本軍の勝利であったことが、
次第に明らかになり始めたのである。

 


※コメント
やはり、歴史は多角的に
よくよく調査しなければ本質に
たどり着けないと痛感した。
研究を続けたい。

 

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