◆ルトワック『トランプはファーウェイを潰す』を読み解く
(月刊hanada、2019年7月号より)
ルトワックは、戦略国際問題研究所の上級顧問。
※要旨
・今般の米中間の戦いは、
商業や貿易という「着物」をまとった完全に
政治的なものだ。
・日本の安倍首相は非常に戦略的な感覚を持った
政治家なので、
ロシアのプーチン大統領が北方領土を
容易に返還してくれるわけがないことを
十分理解しつつも、
プーチンとの関係強化に動いている。
・安倍首相は、
ロシアが自分たちよりも中国が強大な国に
なることをよく思っていないことを
しっかりと見抜いている。
だからこそ、ロシアが反中同盟に加わるという
アクションを起こしつつあることを
知っているのだ。
・中国は脅威だ。
その中国によるテクノロジー獲得の核となるのが、
AI関連の技術だ。
そのAIにとって最も重要なのはソフトウエアの部分だ。
だが、ハードウエアの部分で最も重要なのは、
それに使われる通信機器の生産能力である。
→この分野において、
日本はアメリカと並んでおり、
それにオランダが続き、
そのはるかあとにイギリスとドイツが続く。
・トランプがファーウェイを目の敵にして
潰そうとしているのもこの一環なのである。
・安倍首相は政権の座についてから、
いち早く中国に対抗する必要性に気付いた政治家である。
・トランプ大統領の最大の功績は、
中国を脅威として正しく認識して
対処したことである。
・「小型犬」が「虎」に勝つ。
・政権についてすぐに、
安倍首相は陸のほうに目を向けた。
まずロシアとの関係改善に全力を尽くしつつ、
インドにもコンタクトをとり始めた。
→また資金をアフガニスタンや
ジンバブエのような国ではなく
中国の周辺国に焦点をあわせ始めた。
さらに、バングラディッシュ、ベトナム、ラオス、
ミャンマー、タジキスタンのような国にまで
資金援助を始めたのだ。
→つまりこれはランドパワー戦略だ。
英国がナポレオンを倒したのは、
まさにこのようなやり方であった。
→10万人のイギリス軍と、
軍事的天才に率いられた20万人のフランス軍が戦ったが、
フランスは、イギリス率いる周辺の小さな国々の多くを
従えた対仏同盟に負けた。
→この小国には、その存在さえ忘れられた公国などがあった。
ブランズウィック公国、ナッサウ公国、
ジェノバ共和国などの多くの「小型犬」たちが、
「虎」であるナポレオンのフランスを倒したのである。
こうしたことを安倍首相はよく理解している。
・トランプの偉大な功績。
・トランプ大統領は、
まさに見た目どおりの人間だ。
クリエイティブだが、
ルールや順序を守ろうという気はさらさらない。
他方、彼はダイナミックで、
才能に溢れた人物であることは間違いない。
・トランプが政権についてから何が起こったか。
それは規制緩和だ。
・トランプ政権になって、
どれだけの雇用の増加が起こったかを
冷静に見てほしい。
・アメリカ経済を縛り上げていた規制を緩和しまくって、
黒人の賃金を上昇させ、
黒人の雇用率を上げた。
・トランプの最大の功績は外交、
なかんずく対中外交だ。
※コメント
ルトワックの鋭い洞察力には感服する。
本質をとらえた論調は
一般の人々でもわかる文章だ。
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