◆大宅壮一『児玉誉士夫:昭和怪物伝』を読み解く
※要旨
・戦後の日本で、
なにか異常なことが起こるごとに、
マスコミの矢面に立つことは少ないが、
その陰でいわゆるクチコミの世界で、
いつもヒソヒソとささやかれるのが、
児玉誉士夫である。
・児玉とひざを交えて、
一晩ゆっくり語り合うことによって
私が得た結論は、
彼は危機の求道者だということだ。
・おそらく日本人のなかで
その生涯において、彼くらい大量の危機をむさぼり、
潜り抜けてきた者は少ないだろう。
いわば「危機中毒者」である。
・彼は初めての刑務所生活を過ごしたとき、
老看守にかわいがられ、
「空きっ腹に食べ物をむさぼるかのごとく」、
宗教や哲学の書物を耽読した。
・児玉は、昭和14年、
参謀本部の指示で、
中国の汪兆銘のボディーガードの役割を果たした。
・その後、彼は支那派遣軍や外務省の嘱託を兼ねて、
特殊工作や諜報関係の任務も負わされた。
比較的円満に仕事を進めた。
・彼のほうでも独得の要領の良さで
打つべきところには手を打ち、
仁義を尽くしたことはいうまでもない。
・海軍の資材調達をやるようになった。
銅、ニッケル、コバルト、ピアノ線、ラジウムなど
戦略物資をどしどし買い込んだ。
・児玉機関の活動範囲は、
日本軍の占領地帯から敵地区に広がった。
憲兵はスパイを殺したが、
児玉機関ではみんな逃がした。
そのかわり、先方でも
機関員の証明書を示せば、
決して殺さなかった。
中国人社会ではこういうことが可能だった。
・児玉機関のメンバーで
戦後に戦犯の罪に問われたものは一人もいなかった。
容疑者として捕まった40名あまりいたが、
児玉機関にひどい目にあったというものは一人もなく、
全員無罪になった。
陰で独特の工作や取引があったかもしれないが、
奇跡である。
・三木武吉の新党作りには、
児玉が重要な役割を果たしている。
・児玉は、海軍航空本部との関係が深かったので、
飛行機のことは詳しい。
※コメント
歴史の舞台裏は、おもしろい。
これらかも深く調べたい。
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