◆内藤陽介『大統領になりそこなった男たち』を読み解く
※要旨
・仮に敗者となったとしても、
4年に1度の
「アメリカ政治のオリンピック」大統領選挙の
舞台に立つ資格が与えられるのは、
能力、識見、経歴などの面で
いずれもアメリカのトップクラスに属していると、
折り紙付きの人物だけである。
・彼らの多くは、
同時代の人々を魅了するオーラをまとい、
大統領になろうがなるまいが、
アメリカ史の教科書に記録されるような
業績を残している。
・だとすれば、
こうした「大統領になりそこなった男たち」の
物語から、大統領を主役とする歴史とは別の
もう一つのアメリカとその歴史のスケッチを
描いてみることは不可能ではない。
・切手が国家のメディアとして活用されるものである以上、
切手には発行国のイデオロギーや歴史観が投影されることになる。
・したがって、国家の名において、
ある人物の切手を発行することは、
その人物が切手の発行国にとって顕彰に値する「偉人」として
公式に認定する宣言にほかならない。
・それゆえ、大統領になれなかったにもかかわらず、
切手に取り上げられている人物の生涯と業績は、
アメリカ人にとってきわめて重要な意味を持っている
とみなしてよい。
・彼らの歴史認識のアウトラインを理解するうえで
格好の素材と考えてよい。
・アメリカでは中学生でも知っているパトリック・ヘンリーだが
日本では、アメリカ史に特に関心がなければ、
なかなか目にすることのない名前だろう。
・実際、私は中学生時代、
クラスの担任だった社会科教師に、
パトリック・ヘンリーについて尋ねてみたが、
彼はそれがいかなる人物なのか、
即答できなかった。
・それだけに、切手のカタログばかり
毎日飽きもせずに眺めていた切手小僧は、
切手ばかりいじってないで勉強なり
スポーツなりをしなさいと
小言をいう大人たちに対して、
ひそかに優越感を覚えたものである。
・大学受験のときの世界史では、
アメリカ史に関する項目もそれなりに
暗記しなければならなかったが、
そのことは、
自分がそれまでに見知っていた切手の人物や
歴史的事件の内容を確認する作業にほかならなかったから、
それほど苦にはならなかった。
※コメント
膨大な資料分析からくる
内藤氏の文章力は圧巻だ。
いままで知らない世界を
おもしろ可笑しく楽しめる。
彼の本を全部読めば、
世界史と世界地理をマスターできる。
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