◆宗像紀夫『地検特捜部長の極秘メモ:特捜は巨悪を捕らえたか』を読み解く
※要旨
・私の経験を踏まえていえば、
特捜部が手がける独自捜査事件は、
マスコミに「気付かれることなく」着手できれば、
それで半分は成功したようなものと
昔は先輩検事からよく言われたものだ。
・特捜部は戦後の闇物資摘発から生まれた組織だ。
・いい意味でも悪い意味でも、
特捜部は検察の中でも、
もっとも世間の注目を浴びる部署だ。
特捜部とは正式には「特別捜査部」という。
・そもそも特捜部の歴史は、
戦後、1947年に東京地検に
「隠退蔵事件捜査部」が設置されたことにはじまる。
それは闇物資などを取り締まる経済専門部だった。
・特捜部に配属されるのは、
ほんのひと握りの検事だ。
特捜部の中でもっとも大きい東京地検特捜部といっても、
検事の数は、
せいぜい30~40人程度のものだ。
・特捜事件はとは、
粗暴犯や殺人などは扱わない、
いわばホワイトカラークライム、知能犯罪が中心だ。
そのため、血が流れるようなヤクザの抗争事件の
ようなものはやらない。
・特捜の独自捜査とは、
警察とは関係なく、自分のところで事件の端緒、
ネタをつかんで捜査にかかることだ。
・特捜部の部長や副部長など幹部は、
世の中でどんなことが起こっているかと、
日ごろからアンテナをなるべく
高く掲げておかなければならない。
・そのため、新聞記事はもちろんのこと、
週刊誌の記事、あるいはどこかの会社の内紛が
あるといった情報など、
世情のさまざまなことに目を配る。
・わたしが特捜部の副部長や部長のころは、
出勤すると新聞、雑誌などの記事すべてに目を通して、
「ちょっとこれは臭うな」
「これは事件になりそうだ」
と引っかかれば、担当のグループに
調査を割り振る。
・ロッキード事件の主任検事が吉永祐介さんだ。
・吉永さんとはじめてお会いしたのは、
1977年、福島地検から
東京地検特捜部に着任したときだ。
・吉永さんは「特捜の鬼」と呼ばれていたので、
どんなに怖い人なのだろうと思っていたが、
小柄な普通のおじさんで、初めてお会いしたとき、
「小さな事件もこつこつ捜査をしていると、
やがて大きな事件にぶつかる。
焦らずにゆっくりやりなさい」
と声をかけていただいた。
・吉永さんは、
自分より前の時代の特捜事件で続いた無罪判決について、
当時の強引な捜査手法に批判的で、
証拠の評価が非常に厳しい人だった。
・私が特捜部長として指揮したゼネコン事件のときには、
検事総長だった吉永さんから呼ばれて、
「証拠は大丈夫か」と念を押された。
それほど、証拠について厳しかった。
吉永さんは
「特捜部の仕事は世の中のドブさらいだ」
とよく話していた。
・いまの特捜部に吉永さんの精神が
どこまで生きているのか。
私は生きていてほしいと願っている。
※コメント
なにかと騒がれる特捜部。
その部署を経験した人物の手記は、
いろいろな面で参考になる。
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