◆西鋭夫『國破れてマッカーサー』を読み解く(その2)

 

 

※要旨


・首相が「参勤交代」をするかのように
アメリカを訪問し、ワシントンDCにある
ホワイトハウスに招待され、
そのあと隣のバージニア州アーリングストンにある
アメリカの聖地、国立墓地と無名戦士の墓に詣る。


・この墓地にアメリカの英霊が眠っている。
日本の首相は常に花輪を捧げる。
かつての敵に、
敬意を払うことは礼儀を弁えた大人の姿だ。


・日本にもアーリングストン国立墓地に
匹敵する厳粛な場所がある。
ところが首相が帰国して、
祖国の英霊が眠っている靖国神社に足を運ぶのか。


・日本の兵士たちは、
理由はどのようなものであれ、
祖国日本のために死んでいった。
この人たちに敬意と謝意を払うのは、
生きている日本人としての礼儀ではないのか。
日本国の首相として、
最小限度の礼儀ではないのか。


・敵兵の英霊に頭を下げ、
祖国の兵を無視する国は、
もはや「国」としての「誇り」も、
いや、その「意識」もないのだろう。


・この本を書くようになった経緯について。
1964年の初夏、
わたしはアメリカの西海岸、
ワシントン州シアトルにあるワシントン大学の
大学院へ留学した。


・博士論文は日米関係のどの時代について
書こうかと漠然と考えていたとき、
『ニューズウィーク』誌(1974年)の
小さな記事が目に付いた。
「1945年度のアメリカ政府の機密文書を公開する」
と書いてあった。


・1週間後、ワシントン大学大学院の研究助成金を受け、
ワシントンDCに飛び、国立公文書館へ直行した。


・ここには、アメリカ独立宣言の原文があり、
アメリカ政府の重要文書すべてが保管してある。
公文書館の建物は、惚れ惚れするほど見事。
これはアメリカの国力か、富の深さか。
いや、歴史を大切にする心意気であろう。


・存在していたことも知られてなかった
貴重な生資料が、次から次へと出てきた。
それらを複写し、大学へ持って帰り、
博士論文を書き上げた。


・その論文が、スタンフォード大学内にある
有名なシンクタンク、フーバー研究所の
マイヤーズ博士の目に止まった。
彼は毎年素晴らしい学術専門書を続々と出版する怪物だ。
「フーバーに来て、本を書くか」
と誘われた。
前から、ぜひ一度でもよいから行ってみたいと
思っていた研究所だ。


・フーバー研究所で、有名な教育学者ポール・ハナ博士を
紹介され親しくなった。
彼が、
「ここフーバーの公文書館にトレイナー文書があるが、
誰も使っていないんだ。なぜかなあ」
と私に尋ねられた。


・灯台下暗しとはこのことだ。
誰も使っていないのは、誰も知らなかったからだ。


・ジョゼフ・トレイナーは、日本占領中、
マッカーサーのGHQで、日本の教育改革に
携わった男だ。
彼は教育改革に関し、アメリカ側と日本政府側の
膨大な量の文書を集めて保管していた。
「トレーナー文書」は「宝庫」だ。


・原稿を書き上げるのには丸3年かかった。
英文で900ページ近くになった。
タイプライターで書いた。
当時、使いやすいワープロは、普及していない。
マッキントッシュも発明されていない。


・まず、マイヤーズ博士に見せた。
彼はニタと笑って一言、「厚いな」。


・この原稿は、ハナ博士、
プリンストン、スタンフォード、エールの大学教授、
フーバー研究所主任研究員、そしてマイヤーズ博士によって
同時に読まれ検討された。
全員一致で「出版」が決定した。


・この方式を「レフリーシステム」という。
第三者の判断を仰ぎ、原稿に出版する価値があるかないかを
決定する客観的な制度だ。
これはアメリカの学界では当然のことであり、
すべての学術論文の判定にもこの方式が使用される。


・この本は、アメリカで公開された生の機密文書を
使って書かれた最初の本である。

 

 

 

※コメント
すさまじい情報量だ。
こういった膨大な生情報を
分析する力を身につけたい。

 

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