◆福本邦雄『表舞台、裏舞台:福本邦雄回顧録』を読み解く
※要旨
・わたしは、昭和2年に生まれ、
昭和26年に産経新聞社に入った。
調査研究室の勤務になった。
・天川勇という軍事評論家がいた。
これが、怪物だった。
彼は、外電や香港の謀略筋の電報など、
いろいろなものを収集し、
そのノウハウを蓄積していて、
それをもとに戦況分析していた。
それが富士製鉄の永野社長をはじめ、
財界の一部に評価されていて、引っ張りだこであった。
・産経新聞の前田久吉が、天川に私淑していた。
その天川のところに行って、手伝って、
ノウハウを身につけてこいという社命で、
しばらく私は天川のところに預けられた。
・しばらくして、
社長が水野にかわり、
彼らから
「きみ、今度、岸内閣ができたが、
岸信介と椎名悦三郎官房長官から名指しで、
『官房長官の秘書官に出せ』と言ってきた。
ついては、出向して秘書官になってくれ」
と切り出された。
そして秘書官になった。
・椎名長官は、記者に余計なことを言わないので
記者のなかでは評判がわるかった。
・しかし表向きはそうだけれども、
だんだん接触を重ねて、新聞記者連中の、
たとえば読売の渡辺恒雄とか氏家斉一郎だとか、
いろいろな新聞記者と懇談を重ねて、
個別に会うと、椎名さんは非常に座談が上手い。
→椎名さんは福田赳夫さんみたいに、
電車みたいな速さで素早く席を立って、
お座敷のハシゴをやらない。
ドカッと座っちゃう。
だから、こなしは非常に悪いんだけれど、
ドカっと座っちゃうから、相手は落ち着くわけ。
→それで不人気を、
そういう座談や新聞記者の助けで、
相互の人間理解でカバーした。
・参議院が政治の流れを決める。
・岸信介さんの資金の系譜というのは、
あくまで椎名、福田、川島正次郎、赤城宗徳の「四奉行」。
・岸さんの主要なものは、通産関係。
あと満州関係。
満州人脈でいうと、アラビア石油の山下太郎(アラビア太郎)とか。
・「アラビア太郎」というのは、
これがまた変わった人だった。
朝、閣議が始まるちょっと前、
僕が8時半ごろ官邸に着くと、
彼が風のごとく入ってくるんだ。
→それで、廊下で椎名さんと、
ちょこちょこと話して、スッと消えて行く。
岸さんのところでも、ちょっと行って、
顔だけ見せる。
→それだけで、
あとは一切会合にも顔を出さないし、
何もしない。
来ないけれども、お互い、それで分かっているんだな。
そういう関係だった。
→いちいち来て、説明して、
「ああだ、こうだ」と言う人は、
あまり岸さんも椎名さんも好きじゃなくて、
相手にしなかった。
つまり、それだけ古くからの関係を大事にして、
じっと見ていたんだ。
※コメント
政治の奥深さを知った。
いろいろな裏事情がみえていて
おもしろい。
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