◆ジェームズ・ベーカー『シャトル外交、激動の四年・上巻』を読み解く

 


ジェームズ・ベーカーは、パパ・ブッシュ政権時の国務長官。
湾岸戦争時の外交を担った。
1930年テキサス州生まれ、プリンストン大学、
テキサス大学ロースクール卒業後、弁護士事務所勤務。
1981年、レーガン大統領首席補佐官、85年財務長官、
89年国務長官に就任している。

 

※要旨


・テキサス州で弁護士をやっていたときは、
政治や外交に手を染めるとは考えていなかった。


・政治や外交官は、人望が厚くなければ、長期にわたって成功することはできない。
言い換えれば、「言行一致、約束履行」が必要なのである。

 

・国内政治でも同じことだが、外国政府と連合を組む場合でも、
お互いの考え方や目標が一致していれば協力関係は長続きする。
外交政治家にとって、このような連合・協力関係を構築するのも仕事のうちである。


・私が交渉で相手にした首脳のなかで、
すぐれた成果を上げている人たちはみな、説得力、交渉のコツ、
人間関係、連合の結成、長期間の協力関係の維持などに、
貴重な才能を発揮していた。

 

・すぐれた政治家は、有能な外交官と同じく、
権力の使い方と限界を熟知しているのである。
すぐれた指導者であれば、権力は成功すれば増大することを承知している。
同時にこの貴重な特権を行使すべきタイミングをわきまえている。

 

・すぐれた弁護士を目指す人へのアドバイスとして、
祖父のキャプテン・ベーカーは、こう諭したものだった。

「一生懸命に働き、勉強すること。政治には首を突っ込まないこと」

40歳までの私は、まさにこの家訓を忠実に生きてきた。

 

・国務長官就任時に、ニクソン元大統領にアドバイスを求めた。
彼はこういった。

「戦後、偉大な国務長官は3人しか出ていない。
ディーン・アチソン、フォレスター・ダレス、
そしてヘンリー・キッシンジャーだ。
3人とも、官僚からは不信の目で見られていた。
長官は、官僚を指導しなくてはならない。
官僚の言いなりになってはダメだ」

 

・議会の承認を得るべきだという私の考えは政治の現実に根ざしたもので、
合法性や正当性が欲しいからではなかった。
1981年レーガン政権の首席補佐官として政界に復帰したとき、
私は議員からの電話にすべて返事をし終えないうちは執務室を去らない、と決めた。


→相手がたとえ新人議員でも、
私はそのルールを守った。
12年間というもの私はこれを励行し、
そのおかげで私だけでなく、
レーガン、ブッシュ両大統領がなにがしかの見返りを得たと信じている。

 

※コメント
ベーカー氏は、政界に入る前、
弁護士事務所で抜きんでたコミュニケーション能力と折衝能力を高めた。
彼の外交方針は法律家らしく極めてシンプルであり、
それがアメリカの国益になるか否かであった。
ベルリンの壁崩壊、湾岸危機など数々の修羅場を
くぐり抜けてきたベーカーに学ぶべきことは多い。

 

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