◆兼松雄一郎『イーロン・マスクの世紀』を読み解く
※要旨
・しばし考えた後で、整理された答えが流れるようにあふれ出る。
大胆な構想と冷静な判断で
テスラやスペースXなどを率いる希代の起業家マスク。
・マスクは間違いなく米国における製造業の旗手だ。
・既存業界を破壊し革新を生み出すことを善とする
イノベーション教の教祖のようにも扱われるが、
本書はそうした一面的なマスク礼賛の立場は取らない。
・マスクの事業群は突出した起業家独りで成り立つものではない。
著名なベンチャーキャピタリストを中心とする人脈が足りない部分を補う。
シリコンバレーのエコシステムだけでなく、
米国の政府系機関の研究の蓄積やインフラも総動員している。
・多くの産業にまたがるマスクの企業群は、
米国の基礎研究の遺産、
世界から集まった最先端の技術者たち、
シリコンバレーでアップルが育成してきた
デザイン・マーケティングに長けた人材などの上に立っている。
・マスクとその周辺の動きを押さえることは
社会インフラの未来を占う上でも不可欠な知識になり始めている。
・その姿は複雑でつかみどころがない。
ゲームとサイエンスフィクションを愛するオタクでもあり、
工場に泊まり込み、
取引先の部品メーカーの工場をふらりと訪問する生粋のエンジニアでもある。
・マスクは仮説をすぐに実行に移す。
仮説の力で人を集め、達成のために人を追い詰める。
そこには単なる抽象的な構想にはない手触りがある。
・本書はありていに言えばイーロン・マスクという
人物をダシにして米国の今を切り取ろうとしたものである。
・駐在中に特に印象に残ったのは、
マスクを含めたシリコンバレーの起業家や投資家が
若くても驚くほど産業史に詳しいことだ。
過去を破壊するイメージがあるシリコンバレーだが、
意外なほど過去にも向き合う。
歴史に名を残そうとする野心はもちろんだが、
プレゼンで自社を大きく見せるために歴史的意義をアピールする必要もあるためだ。
・火星を目指し、
マスクほどのスケールで人類の未来の物語を語れる人物はほとんどいない。
・マスクはロケット、電池、ロボット、
人工知能、そして脳に至るまで、知の最先端を横断していく。
・本書を書きながら常に頭にあったのは構想すること、仮説を披露することの力である。
・エンジニアとデザインナー。
・「彼は驚くほど先端技術に詳しい。
技術者をつかまえては質問責めにし、
現場を改善するための仮説を立ててはまた質問するんだ」。
・マスクは秘書を連れず、
ふらりと工場に入ってきてエンジニアと長時間談笑して帰っていった。
エンジニアへの質問責めは多忙なマスクが最新の知識を効率的に仕入れるための方法だ。
最先端の生産技術とデザインがマスクの頭の中で一体となっている。
・アイブの伝記の著者リーアンダー・ケイニーは
「アイブは設計のヒントを得るため自動車の工場にも、
高級ピアノメーカー、スタインウェイ・アンド・サンズの工場にも行った。
様々なものの仕組みを理解しデザインのヒントにしようとしている。
磁石を使うデザインが多かったが、
腕時計端末では新たな素材として金に挑戦した」と指摘する。
・親ビジネスのトランプと、
起業家のマスクがツイッターを執拗に使い続ける裏には共通の思想がある。
仲介者を排除し、
衆人環視の下で支持者と直接コミュニケーションし、
とにかく話を早くまとめることだ。
公開環境で交渉を仕掛けることでフォロワーを通じて相手に圧力をかける。
・世紀を超える思孝。
・一人で巨大なリスクを取っているように見えるマスクだが、
実は米国の驚異的な投資家の厚みに支えられている。
超長期の投資をする異端投資家らだ。
・著名投資家のピーター・ティールも
またマスクを支えてきた一人の異端投資家だ。
ティールは自身のベンチャーキャピタル「ファウンダーズ・ファンド」を通じ、
マスクの構想を間接支援する長期投資を手がけてきた。
※コメント
マスコミのニュースからはわからない
イーロン論が記載されている。
もっと深堀して
調べて生きたい。
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