◆広瀬隆『赤い楯。ロスチャイルドの謎1』を読み解く

 

※要旨

 

・本書『赤い楯』は、世界最大の金融財閥「ロスチャイルド家」をめぐって、
地球上の人類がどのような謎と葛藤し、
どのような立場で対峙しているかを探りながら、
われわれ自身の姿を解き明かそうとした物語である。


・次々に襲いかかってくる国際的な現実の事件・出来事をニュースに
見聞きするだけでなく、その裏にある真実を解読するのに、
基礎的な知識として、最低限必要なものが、
この世界の脈絡を問うロスチャイルド財閥の現代史だからである。


・ゴールドスミス、この名は金塊を連想させるが、
その通り、ヨーロッパ第三位の食品会社カヴェナムをまたたく間に創り出し、
全世界のビジネスマンが彼の動向に注目し続けてきたきわめて重要な財政家である。


・十八世紀末、ドイツのフランクフルトに
誕生したロスチャイルド財閥は、人類の歴史上きわめて稀なことだが、
今日の二十世紀末を迎えてなお世界最大の財閥として地球上に君臨している。


・紋章に誇り高き栄華を与えたその男、
マイヤー・アムシェル・ロスチャイルドをもって、
本書ではロスチャイルド家の“初代”と呼ぶことにする。


・これからの物語では、ドイツに誕生した一族がイギリス、
フランス、イタリア、オーストリア、
ベルギー、オランダなどヨーロッパ全土に広がってゆく。


・ロスチャイルド家の家系図には、ほかのいかなる財閥にも
見られない大きな特徴がある。
二百年にわたる波瀾の歳月を生き延びた、
金融支配の力を示す一族の固い結束である。


・イギリスに渡ったネイサン・ロスチャイルドの役割は、
それ以上のものだった。
ナポレオンに敗れたドイツのヴィルヘルム九世、
すなわち父親の金融パートナーとは裏で通じて、
その財産をイギリスで安全に貯蓄しておくよう委託されていたのだ。
ここでネイサンの天才的な投機能力が発揮され、
勝手にヴィルヘルム九世の資金を使って貴金属に投資し、
自分の莫大な資産を生み出してしまった。


・ネイサン・ロスチャイルドこそ、
ロスチャイルド家の本格的な栄華を築いた大商人と呼ばれている。


・敵味方を分けない冷たい金融取引き、
かかる秘密を尊重する行動、
最大の資産家である大衆を味方に引き入れること、
五人兄弟の固い結束、各国を股にかけた国際的活動による莫大な利益、
通信と密輸における屈指の機動力など、
一級の商人として新境地を開拓したわがロスチャイルド家である。


・彼らは、世界経済を、自由に操ることができるのだ。
その経済という言葉は、
知らないうちにわれわれの日常生活に足を踏み入れている。
ダイヤや金銀だけでなく、
そのほかにも多くの華やかな顔がある。
ヨーロッパの王室があり、戴冠式やオペラ、演劇、
ハリウッド映画、文学、絵画、美術品などが、人間の憧れをくすぐるのである。


・ジョージ・ソロスは、
謎に包まれたハンガリー移民のユダヤ系アメリカ人だが、
一九六九年にブライヒレーダー商会に入ってから
国際ファンド・ビジネスをスタートし、
拠点をロンドン、スイス、カリブ海に置いて突如、
“世界最大のマネー・マネージャー”の異名をとるようになった。


・フィリピンでは独裁者マルコスが馬脚を現わしたが、
香港と中国では政商と呼ばれる華僑が暗躍し、
莫大な資金を大陸に送り込んで今日までの大国・中国を支えてきた。


・スターリング・シーグレーヴの著書『マルコス王朝』は、
分厚い上下巻のノンフィクションで、
いかにして独裁者が財宝を地下の闇ルートで処理し、
隠しおおせたかを追跡した貴重な資料だ。


・タタ財閥の場合は、
戦後の総帥ジャハンギール・タタがインド航空やインド・ホテルなど創業し、
支配してきたが、なぜかスイスに大きな力を注いだ。
このインド航空は、金塊の密輸入で有名である。


・結局、地球のトンネルを使って
貿易と脱税による富を獲得するには、
海運業界の謎を知りつくしていなければならないことが分ってくる。
七つの海のなかでも、特に怪しげな海がバーミューダ海域である。


・国家の情報機関は、法律によって行動が拘束される面もある。
どうしても民間人の協力を得なければならない。
そこでこれと手を組み、全世界に進出してゆくのが、
世界最大の保険会社「ロイズ」である。
かつてはロイズ・コーヒーハウスで、
船乗りから七つの海の情報を集めてシティーの証券取引所を動かし、
ロイズ保険を誕生させてからは、「マルコーニ社」の無線技術を最初に導入し、
それを社内の“情報部”が活用してきた。
逆にその情報解析が、
MI6にフィードバックされて、資料の交換がおこなわれている。


・結論を言えば、
MI5とMI6、“女王陛下の007”は、ロスチャイルド財閥の情報機関である。

 


※コメント
濃厚なワインのような一冊だ。
歴史の重みと情報量に圧倒される。
どれだけのインプットをすれば
これほどの本が書けるのか。

 

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