◆広瀬隆『アメリカの保守本流』を読み解く

 

 


※要旨


・これも酷使された言葉だが、「石油のためのイラク攻撃」という、
多くの人の誤解を解くことが必要になる。
イラク攻撃が石油のためではないという答は読者にとって意外だろうが、
その裏には「石炭」と「鉄道資本」が握る共和党政界のメカニズムがある。
これこそ、保守本流の地盤である。


・大陸の西部には、ユニオン・パシフィック鉄道の行き着く先に
カリフォルニア州のスタンフォード大学があり、
この鉄道に沿って共和党のフーヴァー大統領、ニクソン大統領、
フォード大統領、レーガン大統領が次々と生み出された。


・一方、東部の大都会には、
ペンシルヴァニア鉄道とニューヨーク・セントラル鉄道があり、
かつての栄華は一転して凋落したかに見えるが、
この鉄道こそ、メリル・リンチという世界最大の証券会社を生み出し、
ブッシュ・ファミリーをテキサスの利権者に育て上げた一族のシンボルだ。
しかも鉄道利権が、
インターネット時代の光ファイバーケーブルを支配しているのである。


・第二次オイルショック時代の七九年から八九年にかけて、
ワイオミング州選出の下院議員となって、
八九年から父ブッシュ政権の国防長官に抜擢されて
湾岸戦争を指揮した男―リチャード・ブルース・チェニーである。


・チェニーの利権は、
地元ワイオミング州が生み出す石炭の支配力にある。
やがて彼の一族は、
ワイオミングの地底に眠る巨大資源オイルシェールを掘り出すだろう。


・石炭と鉄道資本が握る共和党の地盤。


・そのユニオン・パシフィック鉄道の支配者が、
ほかならぬブッシュ親子を大統領に育てた鉄道王アヴェレル・ハリマン一族だった。


・ハリマン家が経営する投資銀行ブラウン・ブラザース・ハリマンの
最高幹部から転じて上院議員に当選したのが、
プレスコット・ブッシュであり、
その息子が父の資産をもとにテキサスで
石油を掘り当てCIA長官から大統領になり、
続いて出来の悪い息子が間違って大統領になってしまったのだ。


・石油とちょうど反対に、
石炭と鉄道はアメリカ国内だけで完結する事業である。
紛争を起こさず、
国内で着実に石炭を掘り続けてきたので、
メディアではほとんど取り上げられず、国際的にまったく地味な存在だ。


・ペン・セントラルに集約される共和党閨閥。


・大富豪四人組のUSスチール「鉄のトラスト」を取り仕切った顧問弁護士が、
ニューヨークのサリヴァン・クロムウェル法律事務所の
ジョウ・フォスター・ダレス、のちのアイゼンハワー政権国務長官として
米ソ対立・核兵器競争を激化させた政界保守本流中の本流だ。


・こうしてあらゆる組織、あらゆる資本、
あらゆる産業を近親者で支配したひと握りの共和党閨閥が、
ペン・セントラルという鉄道に集約されることになった。


・ワイオミングの石炭とテキサスの石油をつなぐコネクション。


・ワイオミングとテキサスを鉄道でつなぐ閨閥によって、
石炭資本と石油資本は一体となっている。


・息子ブッシュ政権の人事部長チェニーは、
石炭利権者であると同時にロスチャイルドの人脈でもある。


・読者がすでにお気づきの通り、
同じ人間がたびたび別の場面でくり返し登場する。
新聞や雑誌、テレビで紹介されてきた彼らの履歴は、
実は彼らの人生のわずか一部を切り取った図解であり、
彼らの所属する組織は、シンクタンクから軍需産業、メディア、
政権幹部ポストへと広大なつながりを持っている。


その人脈コネクションを図解すれば蜘蛛の巣のように入り組んでいるが、
中心には必ず大きな財閥の資金源がある。


・イラク侵攻と北朝鮮問題の軍事プロパガンダに
関与した注意すべき主な政策研究所やシンクタンクの名前をあげるだけで、
数十のリストができるのである。
そこに、キッシンジャー・アソシエーツのような
数多のコンサルタント会社が加わる。


・しかもシンクタンクとは、
アメリカ連邦政府の補佐官や側近などをホワイトハウスに
送り込む「取り巻きの養成所」であり、
同時に政権交代がおこなわれた時の「天下り中継組織」である。
シンクタンクがよくもこれだけ大量の人間を
養っているものだと思うが、
国際金融マフィアの法外な収入は充分それに見合うだけの資産を蓄えてきた。

 

※コメント
さまざまな歴史から現代を読みとく
貴重なレポートだ。
深く調べられており、
固有名詞の勉強にもなる。

 


★広瀬隆『アメリカの保守本流』
の詳細、amazon購入はこちら↓


https://amzn.to/2D51Xq2

 

 

◆まぐまぐメルマガ『国際インテリジェンス機密ファイル』ご案内。
ご登録はこちら。

 

http://www.mag2.com/m/0000258752.html


世界のインテリジェンスに関する公開・非公開情報をお伝えします。