◆高橋洋一『なぜこの国ではおかしな議論がまかり通るのか』を読み解く
※要旨
・正しい結論を導くためには、「正しい前提」から始めればよい。
筆者の思考は、その一点に尽きる。
だからウソはすぐに見破れるし、予測も当たる。
この国の未来を正確に見通すのは、
じつはそれほど難しいことではない。
・筆者の分析が「当たる」のには、理由がある。
・筆者の学生時代の勉強法を尋ねられると、
筆者は「小学校に入ってから大学を卒業するまで、
一度もノートをとったことがない」と正直に答える。
いまもメモはとらない。
だから筆記具も持ち歩かない。
・筆者にはフォトグラフィックメモリーの能力があった。
さすがにいまは歳をとったので、衰えていてできないが、
これは見たものを画像として記憶する能力のことだ。
・黒板に書かれた文字も、一瞬で記憶できた。
グラフや数式も、メモもせずに画像として脳にインプットできる。
これはトレーニングで身につけたテクニックではなく、
生まれつき備わっていた能力だから、
「読者には再現性がない」
といわれれば、致し方ない。
・わたしが「変人」であることは認めよう。
しかし、筆者には人が真似できないような
特別なノウハウを駆使して仕事をしているという
感覚はない。
・むしろ、きわめてオーソドックスな一般理論を
用いて分析や予測を行っていると考えている。
言い換えれば、正しい前提のもとに、
正しい理論を、正しく使えば、
正しい予測が導かれる確率が高くなる、
ということをシンプルに実践しているにすぎない。
・つまり、筆者の手法は「誰にとっても再現性はある」。
・筆者の仕事術として説明すれば、
前提の段階ではできるだけ省略的思考をすることだ。
加工されていない客観的な統計データや、
シンプルなロジックから定理を構築する。
・筆者は普段から新聞は読まないし、テレビも観ない。
この生活は、官邸に勤務していた役人時代から変わっていない。
・正しい前提となる情報を求めるのであれば、
メディアに頼らないことだ。
幸い、いまはインターネットがある。
ネット上には何の加工も施されていない一次情報が必ずある。
・筆者の情報収集も基本はインターネットである。
ただし、ドメインは日本の政府機関による情報を公開した「go.jp」か、
大学・研究機関による情報を掲載した「ac.jp」に限定する。
・「時間がない」の真意は「時間の使い方がうまくない」。
・わたしの原稿執筆も、
たとえば日刊紙の短いコラムなら1時間、
ウエブ連載の長めのコラムなら2時間、
書籍の原稿なら4時間という具合に時間を設定して
1日のスケジュールに組み込む。
・筆者は仕事をタイムゲームだと思ってやっている。
役人時代に残業をしたことがないというのも、
仕事は就業時間内に終わらせるタイムゲームだと
思ってやっていたからだ。
・役所には、夜半に急に対応しなければならない案件が
生じることもある。
そのために待機する者もいるが、
筆者は原則として定時で帰った。
その代わり、居場所を伝えておき、
必ず連絡がとれるようにしておいた。
そうすれば、緊急時にも30分もあれば
タクシーで駆けつけることができる。
・お薦めは、野球スタイルよりもサッカースタイル。
筆者は基本的に、仕事は時間内にできたところまででいい、
という割り切りをもっている。
・たとえば、2時間と設定して仕事をタイムゲームで始めたとする。
原稿執筆でも、情報収集でも、
資料作成でも、何でもいい。
あらかじめ2時間と決めておけば、
仕事を自然に2時間を目安にしたペース配分になるものだ。
できない部分は後回しにして、
とりあえず先に進もうという柔軟性が働く。
・筆者の原稿の場合、
制限時間内で書けたものが完成品だと割り切って、
タイムアップになったら編集者に送ってしまう。
・数学的思考で重要なのは、データであり、ロジックだ。
そこに瑕疵がなければ、
文体や表現にはそれほど固執しなくていい。
だから毎回、80点以上の及第点は
とれているという納得感がある。
・100%の状態にまで仕上げてからパスを出せば、
素晴らしいキラーパスになるだろう。
だが、それは自己満足のようなものだ。
いつまでも一人で仕事を抱え込んでいるのは、
仕事全体を遅らせることにつながる。
・80%から先の20%の部分は、
そもそも自分の力量が足りないから未完成なのだ。
だったら早くパスを出して、
パートナーや第三者の知恵を借りたほうが、
早く仕事を100%に近づけることができる。
・この考え方の混泳にあるのは、組織論の中で
実践されているダメージコントロールである。
・政治家を見渡しても、
ここ10年ほどで金融政策を正しく理解していると筆者が思い当たるのは、
安倍晋三、菅義偉、中川秀直、山本幸三、竹中平蔵、
渡辺喜美、舛添要一、馬淵澄夫、小沢鋭仁、
松原仁、金子洋一、、、各氏らくらいのものだ。
・現政権が歴代政権のなかでも
傑出した雇用成果をあげているのは、
金融政策を理解している安倍首相、菅官房長官が政権の中枢にいて、
一連の日銀人事で間違いを犯さなかったからである。
・雇用とインフレ目標とが表裏一体であることを完璧に理解し、
正確に実践できる政治家であれば、
金融政策のドライバーになれる。
※コメント
高橋さんの分析は奥深く、また分かりやすい。
これこそが物事の本質を捉えた人の文章力なのであろう。
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