◆特別コラム:映画『関ヶ原』に学ぶ精神論。

 

今回の『関ヶ原』は、日本文化の結晶といえる映画である。
乗馬、茶道、弓道、武道といった日本の格好いい伝統に惚れる作品だ。


石田三成を演じた岡田准一の乗馬も見事であった。
彼はかつて先輩俳優から、
日本映画で活躍するには乗馬をマスターせよ、
とアドバイスされた。


彼はそれを忠実に守り、乗馬の修行に励んだ。
今回の映画でも彼が馬に乗り、
関ヶ原の戦場を駆け巡る姿は圧巻である。
映画の乗馬で、スタントを使うほど、ダサいものはない。


前田利家を演じた西岡徳馬の姿も格好よかった。
老体であるが威厳があり、凄みと迫力がある。
まるであの時代の前田利家は、
あのような姿なのだと、想像力を駆り立ててくれる。


西岡さんの円熟味を感じさせる演技は、
映画に重厚さを与えてくれる。


忍びの活躍も、クローズアップされている。
司馬遼太郎は、もともと忍びや忍者の小説をたくさん書いている。
そのため、戦における諜報の大切さを熟知している。
いつの時代も、忍びの重要性、はかなさ、匿名性、
トップとの関係など、テーマになる。


薩摩の島津勢の独自性も描かれている。
形は石田三成の西軍に属したが、最後のほうまで戦いには参加せず、
独特の「中立」を保った。
最後に、わずか千名で徳川軍に中央突破を断行した。
突撃しながらの撤退戦を展開し、
その存在感を示した。


これは関ヶ原の戦いにおける一つのビッグ・エピソードであり、
400年後の今でも「島津の退き口」として語り継がれている。
「戦略的生き残り」と「名誉」という相反するキーワードを
それによって島津は成立させた。


最後に、なんといっても徳川家康の大名をまとめる凄さを学べる。
それぞれの大名、武将は、それこそ数十年の戦国時代を
戦ってきた猛者であり荒くれものであり、アクの強い者たちだ。
彼らは多くの子分と一族に対する責任がある。
一歩判断を間違えれば、一家全滅となる。


そういった大名は、現代でたとえると、
マフィアの親分みたいなイメージであろうか。
国会議員や県知事などの迫力には比べようもない。


その海千山千の大名たちをまとめ上げた家康は、
最強の親分・ボスといえる。
戦略、外交、武力、調略のかぎりを尽くして、
関ヶ原という大舞台を仕掛け、切り盛りしたといえる。

 

 

★司馬遼太郎『関ヶ原』(上巻)
の詳細、amazon購入はこちら↓


http://amzn.to/2eKIIVk

 

 


◆まぐまぐメルマガ『国際インテリジェンス機密ファイル』ご案内。
ご登録はこちら。

 

http://www.mag2.com/m/0000258752.html


世界のインテリジェンスに関する公開・非公開情報をお伝えします。