◆川成洋『紳士の国のインテリジェンス』を読み解く

 

※要旨

 

・英国のフランシス・ウォルシンガムは、エリザベス朝イングランドの国家的な建て直しに多大な功績が認められている。
それ以上に、秘密情報部の在り方、とりわけ人材の発掘などに揺るぎない指針を確立したのである。


・スパイ要員として厳選される者は、イングランド、否、ヨーロッパ屈指の名門大学である、
12世紀創設のオックスフォードや13世紀創設のケンブリッジの在学生か卒業生だった。

 

・これこそ、現在に至るまでのイングランドの世界戦略を担う秘密情報部の揺るぎない伝統であり、
「紳士だからこそ、汚い仕事に手を染めることができる」という、パラドキシカルな矜持なのである。

 

・「インテリジェンスとは、外国あるいは海外の地域に関わる入手可能なインフォメーションを
収集、処理、統合、分析、評価、解釈する結果得られた生産物である」
(アメリカ人・情報論研究者ジェフリー・リチェルソン)


・ノーフォークの熱烈なプロテスタントの旧家に生まれたウォルシンガムは、
ケンブリッジ大学キングス・カレッジで法律学を専攻し、1552年に卒業する。
卒業と同時に法曹界の登竜門の一つであるロンドンのグレイズ・イン・ロースクールに入学するが、
弁護士の夢を捨てて、メアリ女王のカトリック体制に反対するために大陸に渡る。

 

・彼は抜群の語学力を生かして、都合6年間、主にイタリアとフランスに逗留する。
イタリアでは、スパイ専用の秘密文書の書き方を改良している数人の貴族の知遇を得て、
記号や暗号の解読と実践的研究に没頭する。

 

・ウォルシンガムは、イタリア、フランスでの在勤後、1573年に帰国、
エリザベス女王の詔勅を受けてロンドンで最初の国家レベルの総合的な情報機関を創設し、その責任者に就任した。
彼のスパイネットワークは、ほとんど彼の個人的な資金で賄われた。

「情報には、いくら金を払っても高すぎることはない」が彼の持論だった。

 


※コメント

ウォルシンガムについて、昨今、日本でもさまざまな情報史研究者が取り上げており、注目されている。
情報機関というものの創設は、最初は苦難なことばかりであり、誰か情熱を持った人物が反対を押し切って作り上げるというのが、世界的にも共通している。
そういった歴史を学ぶことも、我々情報関係者には必要である。


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