◆五味洋治『オトす力。金正男の心を開かせた新聞記者の知的仕事術』を読み解く
五味氏は、東京新聞の記者であった。
金正日の長男でマカオに住む金正男のインタビューを行い、本を出している。
※要旨
・2012年、平凡な新聞記者のひとりだった私の生活は一変した。
それは、1冊の本を出版したことから起きた。
タイトルは『父・金正日と私、金正男独占告白』。
1月20日に出版されると、世界中のメディアから取材や問い合わせが殺到した。
・金正男への取材の過程で学んだのは次の5つだ。
1.相手との信頼関係をしっかり構築すること。
2.功を焦らず、時期が来るまで念入りに準備すること。
3.自分が取り組んでいることが大きな成果を残せると信じること。
4.常識をひっくり返す勇気を持つこと。
5.取材するまでの過程と取材内容はすべて公開し、読む人から率直な批評を受けること。
・私は2008年8月から10ヶ月間、米国に滞在した。
朝鮮半島情勢を勉強するため、ワシントンにあるジョージタウン大学に籍を置き、
国際関係の授業や、ワシントンに点在するセミナーに参加した。
ジャーナリズムの授業にも参加し、どう取材を行うかという実践的な内容を聞いた。
・印象的だったのは、NBCというキー局で勤務する調査報道の専門家が、
彼の調査方法を語ってくれたときだ。
かいつまんで言うと、政府のサイトにアクセスして、徹底して読み込め。
情報があふれている分、情報が管理できなくなっており、
思いがけないニュースを発見できる、ということだった。
・もうひとつは、政府のサイトにある求人情報を裏読みしろということだった。
求人情報が細かく出ている米国ならではの話なのだが、
どんな技術を持った人を必要としているか、
何をどう開発しているのかがわかるという。
・さらには、公共機関が出しているニュースレターを片っ端から購読し、精読する。
そこに思いがけない内部情報が含まれている。
・さらにもうひとつのテクニックは、
ネット上にある膨大なパワーポイントファイルを調べることだ。
パワーポイントは検索サイトのグーグルで引っかかりやすいという。
それに生の情報が含まれている可能性がある。
・私の所属する新聞社では数年前から、
新入社員は原稿をパソコンではなく、手書きにさせている。
ずいぶん時代錯誤と思うかもしれない。
自分の手で原稿を書き、さらに手直しすることで、どんな要素が必要かが見えてくるそうである。
簡単に内容を入れ替えたり、コピペできる環境にいると、骨太の取材、
つまり調査が自分の力で進めることがなくなる。
・わかりやすい文章のための3つの原則。
1.何を言いたいのか、はっきりさせる。
2.短文を積み重ねて文章を構成すること。
3.文章を一言で象徴するキーワードを盛り込むこと。
※コメント
取材においてもビジネスにおいても、
事前の下準備と相手とちゃんと向き合って話すことが王道のようだ。
これはどんなにIT技術が発展しても同じだ。
ネットワークは、その手助けをしてくれる。
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