◆ボリス・ジョンソン『チャーチル・ファクター:その2』を読み解く
(たった一人で歴史と世界を変える力)


続き。


ボリス・ジョンソンは、元ロンドン市長。
現在は外務大臣を務める。

 

※要旨


・チャーチルは全部で31冊の本を書いた。
その14冊は書き下ろしであって、
どこかに発表したものの寄せ集めではない。


・彼は64年間にわたり、
ほぼ切れ目なく議員として毎月何十もの演説、発言、質問
をしているのである。
公表された演説だけでも18巻、8,700ページにのぼる。
記録や書簡は100万点の文書として2,500箱になる。


・財務大臣としては5回予算案を提出した。
そして3時間も4時間も演説した。
彼にはスピーチライターというものがいなかった。


・すべて自分の言葉だったのである。
そして口述をしたり、物を書いたり、
人と話したり、絵を描いたり、レンガ積みをしたりする以外の時間、
彼は読書によってさらなる知を吸収していった。


・彼は少なくとも5,000冊の本を読んだ。
とりわけ彼は詩歌を大量に暗記しており、
人々はまるでジュークボックスのようだと言った。
ボタンを押すと詩がとうとうと流れ出てきた。


・彼はこうした文学的な「珍味」を長年にわたり蓄積し、
ため込んでいたのである。
大量の詩篇がアルコールで洗われた脳の小川の中で
それらは完全に熟成した漬け物のようになっていて、
チャーチルはどんなときにもそれを取り出して
見せることができた。


・閣議ではマコーリーの『古代ローマ詩藻集』を、
子供たちの前ではシェークスピアを暗誦した。


・齢80歳を超えても記録魔の官僚として
知られるジャック・コルビルに向かって
古代ギリシャの喜劇詩人アリストパネスの、
誰も知らないような詩の一行をさらりと口にしたりした。

 

・この天賦の記憶力はリーダーにとって重要である。
チャーチルは頭脳に蓄積したこのデータのおかげで議論に勝ち、
同僚たちを圧倒することができた。


・チャーチルは難しい交渉に直面したとき、
誰もが自然と頼りにする人物となった。
人間的な魅力があって親しみやすかったことにもよるが、
問題を深く把握していたので、
策略と妥協にも長けていたのが主な理由である。


・彼が持っていたのはスタミナ、パワー、
どんなにうんざりするようなことからも逃げない強靭な精神力だった。
「100馬力の精神力をもったウィンストン・チャーチルが来るぞ」
第一次世界大戦前、誰かがそう言った。


・頭の回転が速く、優れた分析力があっても、
特段のエネルギー、天才的な記憶力、鋭い分析力に加え、
一番大事なものを最初に持ってくるように
材料を仕分ける容赦ないジャーナリスト的能力があった。
さらに、創造性をもたらす稲妻のひらめきが脳内にあった。


・彼を突き動かす燃料が何から構成されていたにせよ、
チャーチルのエンジンは政府の複雑な任務を
遂行するためには完璧だった。
彼は官僚組織(ホワイトホール)の戦士であり、
時には異常なほど詳細にこだわる人間だった。


・チャーチルが数々の失敗から立ち直ったのは、
人々が彼の行動の裏にある本質を直感的に
認めたからだった。


・彼はスキャンダルのかすかな臭いもしなかった。
大失敗によって高潔な人格が傷つけられるところまで
いったことは一度もなかった。


・チャーチルは安易に決断に達したのではない。
膨大な調査と熟考の末のことだった。
彼が直観的に物事の本質を見抜くことができたのは、
彼の吐き出す情報量の多さゆえだった。


・彼はまた、ベルサイユ会議の失敗を見越していた。
彼が物事を正しく見通すことができたのは、
ほとんどすべての政治家よりも情報を持っていたからだ。


・1930年代の半ばには彼はホワイトホールと
軍部から秘密の説明を受けていた。
外務省高官のラルフ・ウィグラムをはじめとする官僚や軍人は、
対独宥和に不安を感じ、
ドイツについて警報を発してくれる人を必死に求めていた。


・チャーチルは時には首相のボールドウィン自身以上に
状況を把握していた。


・彼と他の人たちの根本的な相違は、
彼が自分の洞察に基づいて行動したことである。


・あれほど多くの大失敗をしでかしたのもこのためである。
なぜなら彼はあえて歴史を姿全体を
変えようと試みたからだ。


・チャーチルは仕事量、言葉による表現力、
ユーモア、洞察力いずれにおいても当代随一だった。
彼は技術的な創造性においても、
まったくわが身を顧みない勇敢さにおいても
ライバルたちを圧倒した。


・もしイギリス的性格というものがあるとしたら、
それはチャーチルの特質を柱に形成されたものだろう。
おおらかなユーモア、だが時として好戦的で、
不遜ながらも伝統を重んじ、
断固としながらも感傷的で、
あらゆる種類の言語や言葉遊びを楽しみ、
酒や食べ物に飽くところのない熱意を持つ、
そんな性格である。


・チャーチルという人物は、
彼の理想を信奉すると公言している政治家にとってだけでなく、
広く人類全体にとって意味のある存在だ。


・学校の成績がぱっとしなくても、
大学に進学することができなくても、
数学が苦手でも、
何者かになれるというお手本なのである。


・また、親の期待に沿えるかどうか不安な人、
自分は負け犬だと感じている人、
鬱病に苦しむ人、
大食い、喫煙者、大酒飲み、
そして負け戦に挑む人、
チャーチルはこれらすべての人たちの味方である。
すべて足し合わせると、じつに多くの数になる。

 


※コメント
チャーチルの勉強量は努力の積み重ねである。
そのことを学んだ。
失敗しても成功しても前に進む。
その精神が大切だ。

 

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