◆川勝宣昭『日本電産・永守重信社長からのファックス42枚』を読み解く
川勝は、日産自動車でキャリアを積んだ後、
日本電産へ転職。
同社の取締役として、子会社の再建に携わった。
※要旨
・日本電産から日本電産グループ会社に派遣された著者。
使命は、会社再建。
永守重信社長からファックスが毎日のように届いた。
・「1番以外は、皆ビリや」
・「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」
・「花の咲かない冬の日は、下へ下へと根を伸ばせ」
・「明日から伝票を見よ」
・会社のコストの原単位、ディテールを何1つ把握していない私の
経営の甘さを危惧して、
「明日から全部伝票を見る経営をやれ」
と指示された。
・私は「わかりました。役員で分担してチェックします」
と言ったら、
永守社長から、
「そうじゃない、馬鹿者。君が見るんだ。君が全部見ろ」
と怒鳴られた。
・日産時代は、経営幹部が伝票を見る風景など想像できなかった。
大学の経営学の講義で、
「昔の経営者は、伝票を見る経営から始めた」
という話を思い出した。
・ところが、伝票を毎日1枚ずつ欠かさず見続けると、
次第に分かってくることがある。
「おかしいな、同じ金型のはずなのに、
先日のものと仕入値が違がっている。ここ甘いな」
となる。
・この気づきが大切だ。
毎日伝票を見ることで生まれる感覚だ。
・伝票を全部見るようになってから、
私は、夜でも必ず出先から会社に戻るようになった。
私のデスクに置かれた伝票の中には、
翌日すぐ業者への支払いが必要な伝票があるからだ。
・製品がどんなにデジタルなものであり、
デジタルな技術に支えられても、人間が扱う以上、
経営はアナログだという考えは、
忘れてはならない教訓だ。
・「2割の社員の支持があれば改革は成功する」
・「訪問件数を月100件にせよ」
なんと古典的な、泥臭い営業方針の指示かと思ったが、
これは生半可で上滑りの営業戦術・戦略論を超えた、
物事の裏の裏まで透徹した土星骨のある真の本質対策だった。
・「トップ企業をお客様にせよ」
・「とにかく、お客様のところを小まめに訪問しろ。
ライバルが足元にも及ばないぐらいに」
と営業部門を督励した。
それによって顧客企業からトップになるための情報を得る。
営業マンが通い詰めると、相手の担当者が、
普段手に入れられないような情報を徐々に漏らしてくれる。
・「経営者とその社員の士気の高さこそが、
企業にとって最大の財産。
不安な時こそ、それを思い出したほうがいい」
・「会社を変えたかったら、自分に1番近いところから変えよ」
・「1週間練習しないと聴衆に分かり、
3日練習しないと同僚に分かり、
1日練習しないと自分に分かる」
・厳しい時期は忍耐して自分の力を蓄えておけ。
うまくいかないときは、結果を求める方向にではなく、
基礎的な力をつけることに努めておきないさい。
・「経営者たる者、コストの原単位を頭に叩き込め」
・あるとき、私は永守社長にこう言われた。
「ちょっと名刺を見せてくれ。両面印刷だな。これ200枚でいくら?」
「いや、ちょっと分かりません」
「そこのコピー機、A4一枚のコピー代、いくらかかるの?」
「いや、それも総務に聞かないと、わかりません」
「先日、中国に工場建てたな。そこの電気代は?」
「・・・・・・」
ここで永守社長が一言。
「君ね、よくそんなんで経営できるね。
経営は原単位だぞ。原単位を押さえないと経営はできないんだぞ」
・経営者たる者、上から会社を眺めているだけでなく、
社内の誰よりも細部についても把握しておくべきだ。
自分の発する細かさを超えた視点の鋭さ、
ビジネスに対する真摯で厳格な姿勢が垣間見え、
相手がそれを感じるからこそだと思う。
・「能力差5倍、意識差100倍」
・「自慢話が飛び交う会議にせよ」
・「見積もりは24時間以内に出させよ」
・「結果報告は○△×だけでいい」
・「仕事、同じやるなら本腰入れてやってごらん。
そのほうが疲れないで楽しいから」
・わたしは日本電産を辞めた後、現在は経営コンサルタントの仕事をしているが、
業績の悪い会社の1番の原因は、
「物事を徹底してやらないこと」、
これに尽きると断言して構わないと思っている。
※コメント
直筆のファックスというところが味がある。
メールよりも、気持ちがつながる。
手書きを大切にしたい。
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