◆塩原俊彦『ネオKGB帝国:ロシアに迫る』を読み解く

 

※要旨


・ロシア首相のメドベージェフとはどういう人物なのか。
1987年にレニングラード大学法学部を卒業後、
大学院に進み、1990年に修了した。
教師のなかにプーチンとの出会いのきっかけとなるサプチャーク教授、
のちのサンクトペテルブルク市長がいた。


・メドベージェフは1990年から99年の間、
サンクトペテルブルク大学で教鞭をとった。


・1991年、サプチャークは
サンクトペテルブルク市の市長に選出された。
これにともなって、プーチンは対外関係委員会議長に就任し、
メドベージェフは同委員会の法律専門家としても働いた。
プロジェクトの取引・契約の作成などにかかわった。
対外関係委員会には、ズプコフ副議長、ミレル部長、セーチン補佐
といった顔ぶれがそろっていた。
彼らはやがて政府の要職につく。


・メドベージェフはビジネスにもかかわるようになった。
1993年になると、「フィンツェル」という会社を共同設立した。


・2000年から2004年の間に、
彼は大統領府副長官、同第一副長官、同長官にまで上り詰めた。
メドベージェフの得意技は、
法律の穴を見つけ、抜け道を見つけ出し、
活路を見出すことであった、と言われている。


・彼は2000年、世界有数の石油ガス会社、
ガスプロムの取締役議長を兼務することになった。
2003年、大統領府長官、
2005年に第一副首相に任命された。

 

・ロシアの資源戦略といっても、
国家が事実上支配して、外交政策と密接に関連づけているのは、
天然ガスとウランに過ぎない。
石油については、私企業のルクオイルなどが存在しており、
必ずしも国家の思惑が十分反映できない。


・ガスプロムにおける国家利益と私的利益の齟齬に気づかなければ、
資源力の国家利用という面を正しく理解できない。


・資源大国ロシアの復活。
プーチンの権力を支える「権力資源」には、カネそのものもある。
人はカネになびきやすいから、財政資金の配分や、
多額の資金・資本を有する企業支配をめぐって、
プーチンは影響力を行使して自らの権力を誇示し、
同時に権力基盤としてきたのである。


・ガスプロムというロシアの会社は、
その名前の通り、ガスの採掘から輸送・販売までを手掛けている。


・メドベージェフは、「市場経済尊重派」に属している。
そこに、権力の源泉がある。
つまり、欧米先進国の投資家の理解を得て、
外資を国内に呼び込み、国内経済を発展させて、
それが彼の権力基盤の強化につながるというわけだ。


・こう書くと、メドベージェフがプーチンと異なる経済政策を
とると誤解されかねない。
市場経済尊重派といっても、
彼は新自由主義的な「市場原理主義者」ではなく、
国家による市場への介入を認める穏便な市場尊重派だ。
その本質は「国家の強化なしには、市場の発展は不可能」
という彼の言葉によく現れている。
基本はプーチンと変わらない。

 

 


※コメント
いろいろな角度からロシアを見てみたい。
ロシア研究はさまざまな人が行っている。
幅広く情報収集したい。


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